なぜ「令和ロマン」は熱心なファンを怒らせたのか 10万円高額ライブで露呈した“致命的な見落とし”

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16日に単独ライブ

「M-1グランプリ」で史上初の連覇を達成したことでも知られるお笑いコンビ・令和ロマンの単独ライブ「RE:IWAROMAN」をめぐって、開演前から大きな波紋が広がっている。【ラリー遠田/お笑い評論家】

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 5月16日にKアリーナ横浜で開催される同ライブでは、SS席10万円、S席3万円という高額チケットが販売され、その特典として「リハーサル観覧パス」が付いていた。ところが、開催の約2週間前になって、このリハーサル観覧が中止されることが購入者に通知された。

 報道によると、理由は「演出上の都合」とされており、のちにライブの公式Xアカウントでは、開演前にSS席・S席購入者限定で令和ロマン本人が登場する時間を設けるという追加説明もなされた。

 一見すると、これはライブ運営上の単純な不手際に見える。しかし、ここまで批判が高まったのは、単にリハーサルが見られなくなったからではない。問題の本質は、ファンが何にお金を払ったのかという価値判断を、売り手側が軽く見てしまったことにある。

 10万円、3万円という価格は、お笑いライブのチケットとしては明らかに高額である。たしかに、人気アーティストのライブやアイドルのイベントでは、通常のチケットとは別に高額のチケットを販売することは珍しくなくなっている。

 良席、限定グッズ、終演後の特典、本人との接触に近い体験などを組み合わせて、通常席とは別の価格帯を作ること自体は、エンタメビジネスのあり方として不自然ではない。令和ロマンほどの人気と実績があれば、そのような試みをすること自体は理解できる。

 だが、高額チケットは、通常のチケットとは性質が違う。そこでは観客は、単に「舞台を見る権利」を買っているのではない。「自分はこの特別な体験に参加している」という物語を買っている。特に「公開リハーサル」という特典は、単なるグッズや前方席とは意味合いが違う。

 リハーサルとは本来、客に見せるものではない。完成品になる前の過程、芸人が舞台を調整する瞬間、スタッフとのやり取り、ネタの呼吸を確かめる場面など、通常は閉ざされている領域である。そこに立ち会えるということは、ファンにとっては作り手の内側に少しだけ入る特別な体験になり得る。

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