転倒が相次ぐ「危なすぎる階段」が増える根本的な理由 設計する人間が「画面上のイメージを完成形と過信しているのではないか」

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デジタル化が進み過ぎた弊害か?

 建築設計の現場では、パソコン上で製図を行うことができるCADをはじめ、デジタル技術が盛んに導入されている。構造計算の手法も発展し、建築材料の改良も進んだことで、従来では考えられないようなデザインが実現できるようになった。

 しかし、建築物を利用するのは、いつの時代も“人”であることは忘れてはならない。そのためには、素材を手に取って確かめるなど、敢えてアナログな手法を徹底することが重要なようである。前出の建築家が言う。

「駅や公共施設で多いのが、雨で濡れるとツルツルになって、滑りやすくなるタイルです。実際、タイルがツルツルになるせいで、転倒した経験をお持ちの方はいらっしゃるのではないでしょうか。本来、多くの人が行き交う場所なのだから、そういったデメリットの大きい材料は使うべきではないんですよ。

 けれども、あまり深いことを考えず、“他の施設でも使われているから”と、難しいことを考えずに使ってしまう設計者が後を絶ちません。繰り返すようですが、こうした問題は設計者が材料について理解し、施工後のことについて想像を働かせれば防げることなのです」

 雨の場合を想定することも重要だが、日陰になったり、快晴になったときもイメージする必要がある。高輪ゲートウェイシティの大階段は快晴になるほど色合いが同化し、境目がわかりにくくなってしまう例だが、パソコン上のシミュレーションではなかなかわかりにくいようだ。

施設自体が使いにくく、わかりにくい

 ところで、近年の再開発で整備された商業施設を巡っていて感じる人もいるかもしれないが、動線が複雑でわかりにくいことが多いのである。近年の商業施設は、ショッピングモールなどを筆頭に、訪れた人が施設内を回遊して楽しめるようにと、敢えて曲がりくねった通路を用いるのが流行になっている。

 しかし、都心部に整備された施設は変形した土地を再開発したものが多いこともあって、動線がシンプルにならず、内部が迷路のようになってしまいがちである。施設内を回遊して楽しめるのは、「ドン・キホーテ」や「ヴィレッジヴァンガード」くらいであろう。

 そして、昨今の商業施設は入口が複数あるため余計にわかりにくく、地図を頼っても迷ってしまうという指摘もある。誰でも使いやすいユニバーサルデザインが主張されているが、だんだんそこから遠ざかっている気がしてならない。再開発で建設される施設が人気を集めるためには、訪れやすく、館内の設備が使いやすく、迷いにくい施設にすることが重要だと思われる。

デイリー新潮編集部

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