日本最大の市「横浜」が進める巨大再開発でも… “スラム化”の足音が聞こえる
再開発前より大幅に増える床面積
予想を超える速度で進む少子化を受け、これから日本の人口は減り続ける。住宅需要も商業施設の需要も減少せざるをえない。人口が減り続ける以上、どこかが賑わえばどこかが衰退し、空洞化が起きる。それなのに、横浜市がみずから主導して大型の再開発を進めるということは、日本最大の市である横浜市には、人口減社会に対する認識がまったく欠如しているか、あるいは、わかっていても無視しているかのどちらかである。
というのも、こうした再開発は床面積の拡大が前提になっている。市有地を活用する旧市庁舎が中心といっても、その周囲も巻き込んでの再開発だから、地権者たちの同意が要る。都市再開発法の規定では、地権者の3分の2が賛成しなければならない。しかし、多くの場合、地権者は賛成する。旨味があるからだが、それはなにか。
建物を大型化して床面積を増やし(保留床と呼ばれる)、その売却益を建設費に充てるのが、この手の再開発のスキームだ。つまり保留床の売却益のおかげで、地権者はあらたな費用はほとんど負担せずに、新築されたビルの床(権利床)を得ることができる。それが地権者にとっての旨味だが、その代わりに必ず、再開発前より床面積が増える。しかも、保留床の売却益を十分に確保するために、大幅に増えることが多い。だから、ほとんどの再開発事業が超高層ビルとセットなのである。
ところで、旧横浜市庁舎周辺の再開発は、「BASEGATE横浜関内」だけでは終わらない。すぐ西側の港町地区には、地上32階、地下2階、高さ約170メートルのビルが建ち、オフィスを中心に、高層部には高級賃貸マンション、低層部には飲食店やミュージアムなどが入る。その西隣の北口地区にも、高級賃貸マンションとオフィス、飲食店などが入る地上20階、地下1階、高さ約100メートルのビルが建てられる。この4月には、いまあるビルの取り壊しがはじまり、2031年1月に全体が完成する見込みだという。
こうして3棟の巨大な超高層ビルが建ち並ぶのは、拡大を前提にした再開発スキームが利用されているからだが、人口減社会を前にしては、無謀な事業というほかない。
[2/3ページ]

