アフリカ勢が人類初「フルマラソン2時間切り」 日本人の“サブ2”達成はいつ? 増田明美さんの見解は

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ケニアが強くなったわけ

増田:ケニア人のみならず国外のマラソンランナーもトレーニングに集まるところなんです。しかし、サウェ選手はこの場所では泣かず飛ばず……トップランナーが集まるところでは馴染めなかったのかもしれません。おばあちゃん子ですから、優しいんでしょうね。でも、彼はそこから別の練習拠点に移って頭角を現した。2024年のバレンシアマラソンで2時間2分05秒というその年の世界最速タイムを打ち立て、4度目のフルマラソンで2時間を切ったわけです。遅咲きではありますが、すり減っていませんから、まだまだ記録を打ち立てていくと思います。

――それにしても、ケニアはいつからマラソン大国になったのだろう。エチオピアは“裸足の王者”アベベ・ビキラ選手に代表されるように、古くからマラソンに強いイメージがあったが……。

増田:私は2000年に、ケニアの女子マラソン選手でシドニー五輪にも出場したテグラ・ロルーペさんのご自宅にお邪魔したことがあります。ナイロビから車で10時間ぐらい走ってようやくたどり着いたんですが、当時の世界記録保持者だった彼女ですらすべての親戚にマラソンを続けることを反対されていたんです。その辺りの資産は牛で、「女性は嫁に行けば牛がもらえるのに、いつまで走るんだ!」と言われる感じだったんですよ。でも、その後、マラソンに勝てば賞金が入り、そのお金を家族や親戚ばかりでなく地域にも還元するようになって、見方が変わってきました。ケニアではマラソンが“ビジネス”になったことで、強い選手がたくさん出てくるようになりましたね。

日本人に2時間切りは可能か

――今や活躍が目覚ましいケニアをはじめとするアフリカ勢に、日本人ランナーは立ち向かうことができるのだろうか。

増田:アフリカの高地は意外と涼しいので、アフリカ勢は暑さに弱いと言われています。逆に日本人ランナーは暑さに強いと言われてきました。暑い中でのレースなら勝ち目はあるかもしれませんが、最近は選手の健康管理が重視され、暑熱対策で暑い中での大会は控える傾向にありますね。ましてや日本人の2時間切りとなると、現在日本でトップの大迫傑選手でも2時間4分55秒ですから……ちょっとイメージが湧きません。とはいえ、男子マラソンはかつて瀬古さんが記録した日本記録2時間8分38秒よりも4分近く速くなっているわけです。いずれは日本人も2時間を切る可能性はあると考えたいです。

――世界で見るとマラソンの2時間切りは当たり前となっていくのだろうか。

増田:そうですね、今回の記録で風穴が開いたと思います。100メートルが10秒を切った後、次々と記録が更新されたように、マラソンも2時間切りが続くと思います。「あいつが切ったのだから俺も」という選手が出てくるでしょうね。ロンドンマラソンよりもベルリンマラソン(毎年9月の最終日曜日にドイツのベルリンで開催)のほうが記録も出やすい印象があるので、楽しみです。

デイリー新潮編集部

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