完成近づくサグラダ・ファミリア ガウディを「奇抜な天才」とだけ呼べない理由がわかる展覧会

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スペイン最大の観光名所に

 はたから見れば遅々として進まない建築物は、まるで時間の呪いをかけられたように見えたかもしれない。でもガウディが重力を敵ではなく味方として視点を変えて「ポリフニキュラー(逆さ吊り構造理論)」に至ったように、サグラダ・ファミリアにとって時間はやがて大きな味方になっていったのだ。

 着工から110年が経過した1992年、バルセロナにオリンピックがやってきた。サグラダ・ファミリアの存在は世界中の人々に知れわたり、スペイン最大の観光名所となった。入場料や寄付金が集まり資金が潤沢になり、近年の建築技術が大きく躍進し、コンピューター設計、大型クレーン、コンクリートなどの素材なども使われ、関わるスタッフも増え、作業のスピードがぐんぐん上がっていった。

 完成がゴールではなく、コツコツと時間をかけて積み上げてゆくこと自体がサグラダ・ファミリアの答えだと言えばそうだし、ガウディは時間を味方にしたと言えばそういう事にもなる。

 ガウディ、あなたはどう思って見ているの?

土居彩子(どい・さいこ)
1971年富山県生まれ。多摩美術大学芸術学科卒業。棟方志功記念館「愛染苑」管理人、南砺市立福光美術館学芸員を経て、現在フリーのアートディレクター。

デイリー新潮編集部

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