やっぱり不便…ワゴン販売が消えた「東海道新幹線」 利益最高&乗客最多なら乗客に還元してくれても
東海道新幹線で不便な「1つのこと」
東海道新幹線の「のぞみ」は現在、日中のピークの時間帯には1時間あたり最大13本が運転され、ラッシュ時の山手線並みの超高密度ダイヤになっている。筆者は毎月何回か乗車するが、これだけ本数があると、臨機応変に列車を選べて便利である。だが、「不便だなあ」と感じていることが1つある。
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筆者の場合、新幹線に乗車する前に、時間的な余裕があまりないことが多い。つまり、駅に着いて乗車する車両の乗り場にたどり着くと、ちょうど列車がホームに入ってくる――。そんなタイミングのことが多い。そして列車に乗り込み、席に腰を下ろして思うのだ。「あっ、飲み物も食べ物も買いそびれた。東京まで飲まず食わずだ……」。
新大阪から乗っても2時間30分程度なのだから、そのくらいがまんすればいい、と思う人はいるだろう。もう少しだけ早く駅について売店や自動販売機を利用すればいいではないか、と思う人もいるだろう。しかし、JR東海は乗客のことを考えるなら、買いそびれた人のために新幹線の車内で物販をしてほしい。それは以前には当たり前に行われていたサービスなのだから、なおさらである。
同様に上りの東京行きに乗るのでも、新神戸や姫路、岡山や広島などの駅で乗車するときは問題ない。JR西日本は、縮小傾向にあるとはいえ車内のワゴン販売を続けており、コーヒーや軽い食べ物を買えるので、筆者は新大阪に着くまでに慌てて買う。新大阪から先、つまりJR東海の管轄になると、ワゴン販売がなくなるからである。
時々、普通車が混雑していて、やむなくグリーン車に乗るときは、スマホを使うモバイルオーダーサービスでコーヒーやお菓子などを注文できるので、まだいい。しかし「のぞみ」と「ひかり」のグリーン車に限定したサービスで、普通車の乗客は無視されている。
コロナ禍直後にはやむをえなくても
東海道新幹線の「のぞみ」と「ひかり」は2023年10月末で、開業以来60年にわたって続けられてきた車内販売を終了した。その理由は、利用者が減ったことだと説明された。以前にくらべ、駅周辺の売店やコンビニなどで飲食物を買って車内に持ち込む乗客が増え、売り上げが減少し、人員も足りない。だからもう続けられない、という話だった。その代わりにモバイルオーダーサービスが導入され、「のぞみ」が停車する駅のホームには、コーヒーやアイスクリームの自販機が増設された。
車内販売が単体では非採算化していた場合、東海道新幹線の本業が収益率の低い状況に陥っていたり、赤字になったりしていれば、終了が検討されるのもわからなくはない。収益率を上げるために足を引っ張っている分野から撤退するのは、ビジネスの常道だ。実際、車内販売を終了すると発表された2023年8月の状況を考えれば、JR東海の判断も理解はできる。
2020年にはじまった新型コロナウイルス感染症の流行で、東海道新幹線は厳しい状況に追い込まれた。それまでは圧倒的な稼ぎ頭だったのが、観光や出張の需要が減ったあおりをもろに受け、乗客数はそれまでの4割から5割に低迷。JR東海は2021年3月期から2年続けて赤字を記録した。それは1987年の分割民営化後、はじめての事態だった。
その後、コロナ禍が終わりに近づくにつれて乗客は戻っていった。2022年末から23年の年始、23年のゴールデンウィークで、乗客数はようやくコロナ禍前の8割程度まで回復した。だが、まだ完全な回復は見通せず、前年までの赤字が経営への足かせになっていた。その状況で車内販売の終了が発表されたのである。
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