未解決のバラバラ殺人「京都主婦首なし事件」 逮捕後に不起訴となった不倫相手が11年後に起こした「もう一つの謎多き殺人事件」【事件から20年】

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頭部や両手の行方を特定できず

 逮捕後の家宅捜索でも収穫が多かった。Aの乗用車のトランクから血痕を発見。彼女と同じAB型だった。また、自宅の焼却炉から押収したサングラスやキーホルダー、それに下着のホック。それらが、彼女の身に着けていたものと同じタイプだったのである。とくに下着は30万円もする高級矯正下着だったという。非常に珍しい下着だ。捜査本部は、そんな貴重な証拠を積み上げていった。

 別の元捜査幹部が指摘する。

「本人の供述もかなり曖昧だったので、捜査本部でも自信を持っていました。初め、Aは駆け落ちはおろか、当日彼女と会ってもいない、と言っていた。ところが、逮捕後に弁護士がついてからコロリと態度が変わったのです。ホテルにも立ち寄った、と認めるのだが、その日のうちにチェックアウトした。それから、夜の11時には西舞鶴駅に送っていったと言うのです。そこから一人北海道に行くというので別れました、と」

 Aには心強い味方がいた。大物人権派弁護士が代理人として登場。 供述の変遷も、その弁護方針に基づいていた。

 Aはホテルを出た後、別のホテルで夜を明かし、そのまま車で福知山から三田へ戻ったと供述する。

「当人の供述は裏が取れず、アリバイにもならない。だが、こちらも供述を覆すすべがない。頭部や両手の行方も特定できないままでした」(前出の元捜査幹部)

 トランクに残ったわずかな血痕についても決め手にならなかった。 現在ならDNA鑑定できたかもしれないが、当時はせいぜい血液型判定にとどまったのだ。

 そうして逮捕から21日後の9月22日、京都地検が下したのは処分保留。 Aは不起訴となり、無罪放免されたのである。ある検察関係者が悔やむ。

「近頃、科学捜査が脚光を浴びていますが、決して万能ではない。捜査は人間同士のぶつかり合いが基本であり、有り体にいえば、殺人事件の場合、自白がないと立件は難しい。やはり、事情を一番知っているのは犯人だから、自供があってはじめて遺体の発見や凶器を特定できるケースが多い。この件なら、逮捕・勾留まではできる証拠はあるが、起訴できるほどの決定打ではない。そういう状況でした」

 確かに公判維持で厳しい闘いを課されるのは検察だ。有罪にできなければ、普通でもさまざまな形で責任を問われ、組織は痛手を負う。ましてやこのケースはうるさい人権派弁護士が相手だった。

 しかし、である。

 それから11年、Aはまたも殺人事件で逮捕されるのである。

第2回では、最大の謎であるAの動機、そして見え隠れする共犯者の存在について迫る〉

デイリー新潮編集部

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