プロ野球でおなじみとなった「リクエスト」の問題点…メジャーとは雲泥の差、セ・パでも開きがある「ビデオ判定」の死角とは

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米では「チャレンジ」、日本では「リクエスト」

 これもMLB発のルールですが、微妙な判定についてリプレイ映像での検証を求めることができる「リクエスト」制度があります。MLBでは2014年から「チャレンジ」という名称で始まり、NPBでは2018年に「リクエスト」と名前を変えて採用されました。

 日本では「すべてをリプレイに頼るのは、審判員の技術向上に反する」という、審判からの慎重意見が強かったため、導入までに時間が掛かった経緯があり、審判への「挑戦」ではなく「お願い」という、やわらかい表現になったということでしょうか。

 その「リクエスト」が、今年から大きく変わりました。

 去年までは各球場の審判室にモニターが用意され、その球場で撮られた映像を審判員が確認する方法で行われていましたが、今年からNPB事務局内に「リプレイセンター」を設置、このセンターで一括して検証が行われています。

 センターには1軍の審判員2人と映像機器の操作担当者1人が常駐し、各球場から送られてくる映像のスロー再生やズームなど、より詳細な検証が可能になったとのことです。

 しかし残念ながら、センターを設置しても、先行するMLBの「インスタント・リプレイ・レビュー・システム」に肩を並べたとはとても言えません。

 MLBがニューヨークに置いているオペレーションセンターで行われている「インスタント・リプレイ・レビュー・システム」とは、全30ヵ所から送られてくる試合映像を球場別にリプレイディレクターと呼ばれる現職の審判員が、1球場最低でも12台のカメラが捉えた様々なアングルからの映像を基に判定を行います。このシステム構築のために、MLBは7年の歳月と、日本円にして20億円近い費用をかけたそうです。

 日本と違い、アメリカでは各球団ではなくMLBが放送権を一括して管理していることもこうしたシステムを構築できた一因でしょうが、新制度導入にいかにお金と時間をかけたかがわかります。

 日本の「リプレイセンター」との大きな相違点は(1)MLB全30球場の5分の1とはいえ、全6球場を2人の審判員と1人の映像機器操作者だけで賄っている(2)カメラの台数は各球場バラバラで、台数が少ない球場の判定を行う場合、そもそも判定に使える素材が不足している――この2点です。

 球場ごとにそれぞれ専任の審判員を配置することは人手の問題もあり、一朝一夕に改善できないのかもしれませんが、公平性を担保するためにも一日でも早く実現してほしいものです。

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