「この初任給では働けない」と入社前に交渉… 度肝を抜く新入社員が現れる理由 「内定承諾後辞退」も急増
意思表明を要するコミュニケーションは負担
若者にとって、他者への意思表明を要するコミュニケーションは負担である。
「意思を表明すれば、相手の反応が返ってくる。デートでさえ、“この映画が見たい”“この店に行きたい”など意思表明の連続ですから、彼らにとっては、楽しさよりも疲れが勝ります。“彼女が欲しい”といったことをストレートに表明していた上の世代とは対照的なのです」(金間氏)
『Z世代化する社会』などの著作がある経営学者の舟津昌平氏は言う。
「退職代行の本質は、意思決定のハードルを極端に下げる点にあります。誰しもカッとなって、会社を辞めたいと思うことはある。が、手続きや心理的な負担があるから踏みとどまります。退職代行はこのハードルを取り払ってしまうので、衝動がそのまま実行されてしまう。例えばネットショッピングと同じ構造です」
とした上で、
「いまの学校教育はまるで“お客様”に対するように、学生が傷つかないよう配慮された設計になっている。例えば大学では、学生一人一人をメンタリングし、孤立させないような仕組みが普及しています」
大学の“テーマパーク化”
また、大学の“テーマパーク化”を指摘する。
「遊園地に行って感じるような楽しさを前面に押し出し、入学式や卒業式にタレントを呼ぶ大学も珍しくない。私が教えている東大を含め、否定されたり、怒られたりすることに慣れていない学生も増えています。不快さを許容できず、分からないことがあるときには“自分が悪い”ではなく、“教え方が悪い”と開き直ってしまうのです」(舟津氏)
もはや打つ手はないのか。
「若者の“お客様化”は今後もしばらく続くと思います。とはいえ若者は経験が浅く、かつ柔軟でもある。価値観は上の世代よりも容易に上書きされ得ます。“こうあるべきだ”とはっきり伝えれば、素直に受け入れる可能性も十分にあると感じます。勇気をもって“あなたはもうお客様ではない”と示すのも、一つの在り方ではないでしょうか」(同)
前編では、退職代行のプロに聞いた、今年の新入社員の特徴について紹介している。
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