「退職代行の利用は昨年の1.5倍以上」 今年の新入社員に起きている「異常事態」とは 「“休憩室がないから”という理由で退職」
「“休憩室がないから”という理由で退職」
入社後3日と持たずに辞めた事務職の女性もいる。
「隣の席の先輩が上司から怒られているのを見て、いつか私もこうなるんじゃないか、という恐怖があったようです」(清水氏)
女性は清水氏に叱責現場の録音データも送ってきた。
「たしかに、叱責自体はパワハラを受けているなと感じるものでした。が、この女性は“隣で叱責するのは、職場環境を悪くすること。これは私に対するパワハラじゃないですか?”とおっしゃっていましたね。私は“叱責されている本人以外にはパワハラは該当しない”と説明しました」(同)
ほかにもある。
「入社5日目で辞めた、金融業の男性もいました。“休憩室がないから”というのが理由でした。たしかに休憩室は、深夜業務のある会社の場合は労働安全衛生規則により設置義務があります。が、該当しない場合は努力義務にとどまります。男性の会社は会議室を休憩スペースにしていたのですが、打ち合わせで埋まっていることが多かったそうです」(同)
残業代が争点になるケースも発生していた。
「あるシステムエンジニアの新入社員は、会社から“残業代なんて支払わない”と言われたようです。残業代も出ない会社にはいたくないから辞めるということで、そこまではよかった。しかし、彼からは残業代を請求してほしいとも依頼されまして、それは難しいと断りました」(同)
「法的な説明をしても、AIで作った文章で反論してくる」
気になるのは残業の実態だが、
「内訳は朝20分、夜40分。朝というのは、おそらく上司に“早めに来いよ”と言われたのだと思います。当然ですが、朝、早めに出社しても、ボーッとしていたら就業したことになりません。私が“朝からガツガツ仕事していたんですか?”と聞けば“していません”と。それでは残業というのはきついです」(清水氏)
加えて、この新入社員氏は、次のように尋ねてきたという。
「“残業代は1分単位で出ますよね?”と聞いてきました。働き始めなのにどうして知っているか気になったので“AIに聞いたんですか?”と問うと、“まあ、はい”。たしかに法的には1分単位で請求できますが、今回は研修中だし、本当に残業といえるのか難しい案件なんですよ。私は“まだ給料の締め日も来ていないのだから、その話をするのは早いのでは?”と言いました」(同)
清水氏によれば、今年は顕著な傾向が見られるという。
「生成AIを使っていると感じるケースが増えました。私の事務所ではLINEでも相談を受け付けるのですが、一発でAIだと分かる文章が多い。それらは根拠もなく“不当だから慰謝料を請求できるはず”“先生にも成功報酬を払えるからメリットがある”などと言ってきます。こちらが法的な説明をしても、さらにAIで作った文章で反論してくる。これには本当に困ってしまいます」
後編では、内定後に入社を辞退する学生、入社前に初任給の交渉を始めて成功させてしまう学生など、令和の新入社員の最新事情についてより詳しく報じる。
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