50年前に“コミケ会場で初めて(?)コスプレをした女性”にインタビュー 「ガッチャマンのキャラに扮したら驚かれて…でも、次のコミケではコスプレイヤーが数多く誕生したんです」

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 今やすっかり日本の文化として定着した感のあるコスプレ。東京ビッグサイトで開催される日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット(以下、コミケ)」では、コスプレイヤーが会場を賑わせている。参加者からは、えなこ氏のように“プロコスプレイヤー”として活躍する人も登場している。

 そんなコミケの黎明期に、おそらく、会場で初めてコスプレを行ったと思われる女性がいる。デジタルハリウッド大学教授で、日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)の代表理事を務める福井智子氏である。

 アニメーターとして現役で活躍する福井氏は、高校1年生だった1977年、東京都大田区の「大田区産業会館」で開催された第5回のコミケでコスプレを行い、周囲から大きな注目を集めたという。昨年で50周年を迎え、今年の夏には第108回が開催されるコミケ。福井氏に、同人誌即売会及びコスプレの黎明期の様子を聞いた。【取材・文=山内貴範】(全2回のうち第1回)

初のコスプレはあのアニメのキャラ

――福井さんが初めてコミケに参加したのは、いつなのでしょうか。

福井:コミケに初めてサークル参加したのは、1976年に開催された第2回。そして、コスプレをしたのは、1977年、第5回だったと思います。今回お話しするコスプレの話は、以前は内輪でよく話していたんですよ。

 でも、あっという間に50年近い時間が経ってしまいました。どこまで正しいか、曖昧なところもありますし、「本当なの?」と言われそうな話ですから、あくまでも思い出話として聞いてくださいね。

――そもそも、当時はコスプレという言葉はあったのでしょうか。

福井:ないです、ないです。仮装とも言っていないですね。よく覚えていないなあ。

――コスプレをしようと思ったきっかけは。

福井:実は、私が自分からやったわけではありません。偶然というか、成り行きでコスプレをすることになったのです。タツノコプロ(以下、タツノコ)のアニメ「科学忍者隊ガッチャマン2」のゲルサドラの衣装を着ました。

 タツノコはこの頃、自社で制作したアニメのキャラの衣装を作って、福祉目的でヒーローショーを簡単な寸劇としてやっていたのです。「紅三四郎」の主人公が着た赤い柔道着、「破裏拳ポリマー」のヘルメットやタイツ、ほかには「新造人間キャシャーン」の衣装もありましたね。

 ゲルサドラの衣装もそういったものの一つで、その時のコミケ会場に、タツノコのファンクラブのお姉さまたちが持ってきていたんですよ。

いきなり白粉を顔に塗られ……

――ファンクラブのみなさんは、コミケで何かイベントでもやろうと考えていたのでしょうか。

福井:当時は、今みたいにビデオが普及していない時代。ファンクラブは16ミリフィルムを借りて、スクリーン付きの舞台がある公会堂などでアニメの上映会を開いていました。その宣伝のため、ビラ配りをする目的でコミケに来ていたようです。

 ビラはただ配っているだけでは誰も受け取ってくれませんし、当時のコミケは漫画を描きたいという人たちが多く、アニメは主流ではなかったと思います。そこで、目立つ衣装を着て配ろう、と思いついたと聞きました。

――ゲルサドラは独特なデザインのキャラですから、目立つことは間違いなしですね。

福井:鼻から上は仮面で、口周りが露出していますからね。

――福井さんに声がかかったのは、なぜですか。スカウトでもされたのでしょうか。

福井:私は高校1年生の頃、15、16歳だったと思いますが、漫画を描きたいと思って同人誌を描き、知り合いのサークルで売り子をしていました。その回のコミケで、お客さんの入場が始まる前だったと思いますが、タツノコの作品が好きだったので、ファンクラブのみなさんからビラを貰ったのです。

 ふと、ゲルサドラの衣装が目について、じっと見ていたら、「着てみる?」と言われたのです。そして、「ビラを配るのに協力してもらえないか」とお願いされて、「いいですよ」と引き受けたんですよ。

 ゲルサドラの衣装は結構大きくて、ファンクラブのお姉さんたちは小柄だったので、着てもぶかぶかだったと思います。私は当時、身長が168cmあったので、ちょうどよかったんですよね。

――実際に着て、どんなことをしたのでしょう。

福井:白粉をバーッと顔に塗られて、口紅を塗って、仮面を被って、ブーツを履きました。私はアニメを見ていたのでゲルサドラの性格は知っていましたし、どうせやるなら中途半端は良くないと思って、衣装を翻しながら大股で歩くなど、キャラになりきりました。

 そして、私が歩いて会場を回り、その後ろでお姉さんたちがビラ配りをするという流れでした。

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