「もはや企業にとってリスクでしかない…」 渾身の“エイプリルフール”投稿が大炎上…「実は本当でした」というネタで新たな被害も
「エイプリルフールのネタ、本当じゃないんですか!」
S氏はまた、このような苦悩も打ち明ける。
「一時期から、エイプリルフールに発表した商品や企画が“実は本当でした”と発表する、いわばマーケティングの手法を取り入れる企業が増えました。そうなると、当社のように本気でネタを考えていた企業が、消費者から“どうして御社は(エイプリルフールのネタの)商品を発売しないのか”とお叱りを受け、失望されてしまうんですよ。
当社のメールフォームにも“発売されると思っていたのに”とか、“期待を裏切られた”という趣旨のクレームが来たことがあるのです。どこから突っ込めばいいのかわかりませんが、本当に発売されていたら、そんなのエイプリルフールじゃないでしょう」
ネタだと思ったら本当だった――こうした投稿は最初こそ新鮮だが、あまりに追従する企業が増えすぎると、途端に陳腐化してしまう。S氏の詩的に会ったように、要はエンタメではなく、新商品を手っ取り早く宣伝できる場として、エイプリルフールが活用されているのだ。
企業の公式Xは個人アカウントとは違い、あくまでも宣伝目的で運用されているのだから、新商品の宣伝に使うのは正しいし、問題はない。しかし、ステマっぽい雰囲気をSNS民は総じて好まない。近年、商業主義的な匂いが強まったことも、エイプリルフールのネタが嫌厭され、炎上するようになった原因の一つだろう。
ネタをネタとして楽しめないのは問題
S氏は古参の2ちゃんねらーであり、mixiやTwitterも開設直後からアカウントを開設するなど、ネット文化を好んできた人である。そんなS氏は、「ネタをネタとして楽しめない雰囲気が、今のネットには蔓延している」と嘆く。
「もはや、企業がエイプリルフールのネタをやることは、リスクでしかありません。というより、XなどのSNSをやること自体がリスクだと思うんですよね。炎上したら一気に権威が失墜してしまいます。
上場企業だと、Xのポストが株価に影響してしまう事例は発生していますよね。ましてや、当社のような中小企業が炎上騒動を起こすと、下手したら命取りになりかねません。表現の自由を狭めているのは、何か不満があればすぐにクレームを書き込み、炎上に追い込むオタク自身だということに気づいてほしいと思いますね」
Xでは連日、謝罪が繰り広げられている。SNS民も些細なことに噛みつくのをやめて、ネタをネタとして楽しんでほしいものだ。ネタが楽しめない人が増えてしまうと、ネット文化は衰退してしまいそうだし、当たり障りのないものばかりが蔓延る退屈な空間になってしまいそうである。
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