松ぼっくりで「流れが変わった」…マキロイ連覇の脇で「また2位」のローズ、惜敗でも胸を張って歩き去った“ゴルフ界トップの品格”
試合前に「何も変えようとは思わない」
そんな2人が、それから5日後の日曜日の午後、プレーオフを戦ったことには、運命的な何かを感じずにはいられなかった。
そして、勝利したのはマキロイだったが、敗れたローズは自身の悔しい気持ちを横に置き、悲願のマスターズ初制覇とグランドスラムを達成したマキロイを抱きしめて祝福した。2人のハグは、勝者と敗者と言うより、テレパシーで通じ合う兄と弟のようで、思わず涙を誘われた。
あれから1年。今年のマスターズ開幕前に会見に臨んだローズは、昨年の惜敗を振り返り、こう語った。
「去年は優勝にとても近づいた。だから、とても辛い敗北だった。そう思う一方で、僕はオーガスタ・ナショナルがとても好きだ。これまで喫した3度の2位は、この場所を好きだと思う私の気持ちを変えるものではない」
今年こそ優勝するためには何かを変える必要があるのか? あるとすれば何だと思うか? そんな問いかけに対し、ローズは毅然とこう返答した。
「これまでマスターズで3度2位になったことは、僕のゴルフがこの場所で勝つに値するゴルフだったことを示している。ただ、最後の一線を越えることはできなかった。でも、僕は何も変えようとは思わない」
単独首位で後半へ折り返したが
その言葉を実証するかのように、ローズは今年も優勝戦線に浮上した。
首位から3打差の5位タイで最終日を迎えると、1番でいきなりチップイン・バーディーを決めて好発進。7番では、林の中からピンそばに付けるミラクルショットでバーディーを奪った。8番(パー5)のバーディーで首位に並び、9番のさらなるバーディー奪取。
3連続バーディーを決め、2位に2打差の単独首位に立って後半へ折り返したローズは、今年こそ、長年の雪辱を果たすに違いないと思われていた。大観衆の割れるような拍手と歓声は、すでにローズを祝福しているかのようだった。
しかし、その途端、ローズの「何か」が変わった。アーメンコーナーの11番は、グリーン右サイドからピン2メートルほどに上手く寄せながら、パーパットを外した。
続く12番は池越えの短いパー3。ティグラウンドに立ったローズは「完璧に攻略できると思った」そうだが、ティショットはグリーン奥にこぼれ、2打目のチップショットは、打ち損なってグリーンに乗せることすらできなかった。3打目をパターで寄せて1パットで沈めたが、2連続ボギーは手痛いダメージだった。
2打目の寄せ損ないは、熟練の技を持つローズらしからぬ珍しいミスだったが、後にローズは、こう明かした。
「ボールのすぐそばに、松ぼっくりがあった。そこにあってほしくないシロモノで、できることなら取り除きたかった(が、そうはできなかった)」
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