「茨城で中国人農家が増加している」 国籍を取得してから離婚… 外国人の不法就労が横行している背景とは

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技能実習生は「使い勝手が悪い制度」

 同市で大葉などを栽培する50代男性はこう話す。

「以前から、当局へのタレコミは年に数回はありました。けれど、捕まっても事業者側は罰金や短期間の拘留で終わるケースが大半で、昨年に摘発を受けた知り合いの農家も釈放後、“ちょっと『別荘』に行ってきたよ”と隠語を交えて軽口をたたいていたほどです」

 不法就労が横行している背景について、鉾田で小松菜などを栽培している市村正義さんが語る。

「正規の技能実習生を雇うとなると、まず渡航費や申請費などで30万~35万円ほどかかります。実際に雇用すれば1人につき月約25万円の給料に加え、別途、管理団体に毎月約3万円を払う必要がある。安くはなく、仕事のない農閑期も含めて通年で雇わなければならないので、使い勝手が悪い制度と感じている農家は多い」

 市村さんのように1年を通して栽培可能な野菜を作っていれば、通年での必要人員を計算できるが、サツマイモや大根など農繁期のある野菜だと事情は違ってくる。

増える中国人農家

 イチゴ農園を経営する男性が明かすには、

「大人数の実習生を雇うほどの余裕はありません。かといって外国人がいないと、収穫期に人手が足りなくなる。農家にとって“フホー(不法滞在の外国人)”は必要悪ともいえる存在です。しかも雇うのは簡単。農繁期になると、彼らのほうから〈つくば〉や〈土浦〉ナンバーの車で畑に乗り付け、われわれに“人手要る?”などと声をかけてくるのです」

 不法滞在外国人に払う日給は1万円。仮に1カ月間雇えば1人30万円になるが、

「足りない時にその分だけ雇えるし、通年で考えれば破格の安さで労働力を確保できます。実は農家にとって“フホー”のイメージはそれほど悪くない。彼らは何か悪さをして捕まれば強制送還されるため、文句も言わず黙々と働いてくれますからね」(同)

“フホー”の多くはもともとは技能実習生だったが、労働環境が劣悪だったり、もっとお金を稼ぐために実習先から逃げ出し、在留資格を失ったケースが多いという。

「彼らは独自のネットワークを持ち、人手の足りない農家や収穫時期を逐一把握している。国籍では、中国、ベトナム、インドネシアが多い印象です。県内の一軒家などに集団で住んでおり、家の所有者は大抵、正規のビザを持つ中国人だといわれています」(同)

 不法滞在の外国人に貸し出し、グレーな賃料を得ているだけではない。近年、鉾田市では農地を購入して自ら農業経営に乗り出す中国人も増えているとされ、

「実習生として来日した中国人が、実習先の娘さんと結婚し、日本国籍を取得後に離婚。しばらくすると後継者のいない農地を買い取って、中国人を雇い農業法人を立ち上げたケースがあります。彼は今も市内で農業を営んでいますが、周りの日本人農家とコミュニケーションを取ろうとしないため、働いている外国人の素性などはよく分かりません」(同)

 後編では、今後中国人農家がさらに台頭することで懸念される事態などについて報じる。

週刊新潮 2026年4月16日号掲載

特集「茨城県知事が導入『1万円通報制度』 それでも農家に来る“不法外国人”は減らない」より

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