「誰だか分からない」ヒロイン2人の限界か 朝ドラ「風、薫る」が陥った“必然の不振”
クレジットの謎
一番勿体ないと感じたのは「おっちょこちょい節」の扱い。江戸期から明治期にかけて流行した俗謡らしい。りんは第1回(3月30日)の冒頭から折に触れて歌っている。
第3回(1日)、りんは母親がコレラに罹っていた虎太郎の手を握らなかった。のちに「間違えた!」と後悔し、自分の短慮を嘆いた。りんは慎重なタイプに見えたが、実際には典型的なおっちょこちょいだった。
りんはコレラで他界した父親の信右衛門(北村一輝)の看病を本人任せにしてしまったときも「間違えた」と嘆いた。性格も生活観も合わぬ奥田亀吉(三浦貴大)と結婚したときも「間違えた!」だった。
「おっちょこちょい節」には、りんの前半生が投影されている。だから冒頭から歌われた。しかし、その意味が当初から広く伝わっていたかというと、疑問である。
2人ヒロインといえば、どうしてオープニングのクレジットは見上が単独のアタマ(最初に紹介)で、上坂が2番手なのだろう。見上が指名されての出演で、上坂はオーディション組だからか。そんなことはないだろう。主演であることに変わりはない。
「だんだん」は2人ヒロインの三倉茉奈(40)と佳奈(40)の名前を並記し、アタマで表示した。「ふたりっ子」のときは岩崎ひろみ(49)がアタマで菊池麻衣子(51)が2番手だったが、物議を醸した。
局を問わず、ダブル主演はアタマで並記するのが基本。4月スタートの作品だと、日本テレビ「月夜行路-答えは名作の中に-」(水曜午後10時)は波瑠(34)と麻生久美子(47)をアタマで並記。テレビ朝日「エラー」(日曜午後10時15分)も畑芽育(24)と志田未来(32)も並記している。
見上がアタマで上坂が2番手だと、観る側が「本当の主演は見上」と誤解する恐れがある。またスタッフのほうがよく知っているとおり、俳優にとって番手はギャラ並みかそれ以上に大切なもの。アタマでの単独表示はプロ野球のエースの称号に等しい。
NHKでの過去のエピソードを振り返ると、番手の大切さが浮かび上がる。向田邦子さんの原作に基づく不朽の名作「ドラマ人間模様 あ・うん」(1980年)にダブル主演したフランキー堺さんと杉浦直樹さんが、自分がアタマだと主張して譲らなかった。ともにインテリの紳士だったものの、番手にだけは強く拘った。
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