補助金が“中抜き”されている? このままいけば「独立系のスタンドは閉店に追い込まれる」
「どこかで“消えている”」と考えざるを得ない
通常、系列店は元売りが決めた「基準価格」で仕入れ、月末締め支払いで取引する。対してPBスタンドは商社を通じ、日々の相場に基づいた現金取引を行っているといい、
「本来であればキャッシュのPBのほうが安く仕入れられるのですが、3月に元売りがいきなり供給を3割以上カットしたことで、相場が跳ね上がってしまった。結果、3月25日には系列店の仕入れ値平均85.58円に対し、PBは125.51円と、およそ40円も上回る逆転現象が起きてしまったのです。供給を絞れば相場が上がるのは自明で、まさにPBを追い詰めるための策だといえます」(前出のPB関係者)
続けて、こう指摘する。
「今回、元売りに支給されている多額の補助金も、末端まで行き渡っているとは到底思えません。“供給削減”を差し引いてもこの価格差は異常で、どこかで“消えている”と考えざるを得ない。元売りは“ちゃんと反映させている”と言うのでしょうが、実際には同じ元売りから出ている油にもかかわらず、これほどの差が生じているわけです」
イトモス研究所の小倉健一所長が言う。
「政府の論理は“元売りが卸価格を引き下げれば、市場競争を通じて小売価格も同じく下がる”というものですが、現実の市場はそのようには機能しません。関東財務局が2022年10月に公表した調査結果によれば、ガソリンスタンド事業者へのアンケートで“補助金で小売価格がどの程度抑制されているか”との問いに、“全額分抑制されている”と答えた事業者は約45%に過ぎませんでした」
補助金をどのように卸価格に反映させたかについて、経済産業省や資源エネルギー庁が強制的に調査できるわけではない。それもあって“ブラックボックス”と化しているというのだ。
このままいけば……
石油の流通システムに詳しい桃山学院大学経営学部の小嶌(こじま)正稔教授は、
「現在、全国的に系列店とPBとの間で、供給量や価格に圧倒的な差が出ています。元売りからすればガソリンを系列店に入れて安売りした方が、マージンも得られて実入りが良いのです」
そう前置きしながら、
「この状況は、過去のオイルショックの時ですら見られなかった異例の事態です。元売りがここまでPBに強く出るのは、足元の在庫に対する強い危機感があり、見通しが全く立っていないためです。そもそも、元売りとの間に『商標の使用権契約』があり、看板やサインポールを掲げている系列店は優先されますが、元売りとの間に供給義務を生む契約を結んでいないPBなどは、元売りの都合で真っ先に供給を減らされてしまう。そういう仕組みになっているのです」
さらには、
「PBと系列店との仕入れ価格差が30~50円もある場合は、PBには補助金が届いていないと感じています。そこに至るまで、どの段階で“中抜き”がなされているのかは不明瞭ですが、結果的に街のスタンドの価格で大きな差が出てしまっている。このままいけば独立系PBは閉店に追い込まれ、スタンドは系列店ばかりになる。となれば元売りが独占的に値段を決めることができ、安売りなど考えられない。消費者にとって極めて重大な問題で、現状を放置すべきではありません」
[2/3ページ]

