「スマホ」「子持ちシシャモ」「定期入れ」「スッポン」の共通点とは? 豊洲市場では減少傾向も築地場外では増加する“意外な物”

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大きなホワイトボードに列記

 2025年に東京都内で“警察に届けられた落とし物”の拾得件数は、およそ450万件。現金はなんと約45億円にのぼり、ともに過去最多だという(警視庁「遺失物取扱状況」より)。無事に持ち主へと返還される落とし物もあれば、それが分からずじまいだった例も多いようだ。【川本大吾/時事通信社水産部長】

 一般的には傘やスマートホン、衣類に時計などを思い浮かべるだろうが、都内の“ある場所”では少々変わった落とし物が、日々、届けられているという。たとえば、カボチャ、定期入れ、イワシのつみれ、食用花、べったら漬け、ETCカード、釜揚げシラス、指輪、チャーシュー、筋子――。いったいどこで届けられた落とし物か、お分かりになるだろうか。

 食材が多いだけに、気付きやすいかもしれないが、これらは東京の台所「豊洲市場」(江東区)の管理施設棟にある、防災センターに拾得物として届けられ、一時保管されていた物
の一部である。
 
 豊洲市場の正門南から管理施設棟1階の入り口を入ると、正面に大きなホワイトボードが設置されている。そこには、直近に届けられた拾得物がズラリと書き記されているのだ。具体的には、届けられた日付と「拾得物件」が記載されており、日本一の魚市場だけあって、水産物の表記はやけに詳しい。

落とし物の3分の1は「食材」

 いくつか例を挙げると、単なるカニではなく「タラバガニ」、イカは「モンゴウイカ」、シシャモは「子持ちシシャモ」など、落とし主が気付きやすいよう種類を詳述。魚の加工品では、「釜揚げシラス」、「トロしめサバ」、「フグの煮こごり」、「カツオ塩辛」などと商品名がそのまま記載される。

 一方、袋に食材だけが入れられていて魚種名が判別できなかったのか、単に「魚の切り身」「干物」とだけ書かれていることもある。このほか、豊洲ならではと思われる落とし物では、「マグロの頭」「スッポン」「魚の肝」といった物もある。

 市場の管理者である東京都の中央卸売市場豊洲市場管理課によると、豊洲市場の1年間の拾得物の届け出は600~700件。財布やスマートホンなど、落とし主が常時持ち歩いている物が圧倒的に多い。ちなみにこうした貴重品は、市場内の館内放送でも拾得物のお知らせとして逐一アナウンスされる。

 拾得物のうち、食材は3分の1ほどで、豊洲市場だけにやはり水産物が多いが、青果市場も併設されていることから、野菜や果物も少なくない。都によると、届けられた拾得物が無事に落とし主の手元に戻る割合は半数程度。落とし主については、「正確な割合は不明だが、市場関係業者や(市場外に店を持つ)買出人が大半ではないか」(都)という。

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