「こっちは役場も立派やろ?」 イラン危機で注目を集める“原発再稼働”…玄海原発のお膝元で暮らす編集者が見た「原発のある街」のリアル
アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃の影響で、原油先物価格が急騰し、日本ではエネルギー不足への懸念が強まっている。まもなくやって来る猛暑を前に、全国的な原発再稼働の議論が再燃する可能性も大いにあり得る。すでに政府は第7次エネルギー基本計画に向けて、再生可能エネルギーと原発を「脱炭素電源」と取り扱い、最大限活用する方針を示しているのだ。【中川淳一郎・ネットニュース編集者】
【写真】「私たちが作ったプラントがとんでもないことをしてしまった…」廃炉に向けて作業が進む「福島第一原発」の様子
実は原発で働いています
計画によると、2040年には原発を2割、再生可能エネルギーを4~5割とするとしているため、原発は無視できる存在ではなくなっている。その一方で、2011年の東日本大震災以降、原発は触れてはいけないタブーのような扱いになった。今でも反原発の運動は行われているし、原発推進派と反対派の争いは続いている。
そんな状況下、原発のお膝元はどのような状況になっているのか。筆者は九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)から約20kmの佐賀県唐津市の中心部在住だが、当然ながら唐津市内にも多くの原発関係者がやってくる。時折、彼らと遭遇すると、何ともいえぬ微妙な空気を感じることがある。
飲み屋に一人で入ってきた見慣れぬ男性が、カウンターに着席し、静かに飲み始める。我々は仲間と飲んでいるのだが、場が緩むと、いつしかその人とも話すこととなる。和やかな会話の流れで、「出張ですか?」と聞くと「えぇ、まぁ、そんなもんです……」と、急に歯切れが悪くなる。しかし、酒も進み、一層関係性が深まると、「実は玄海原発で働いていましてね」と告白されるのだ。
原発作業員は、全国各地からやってくる。特に、原発が定期検査に入ると、相当数の人員が必要になるため、数多くの期間限定の派遣社員や、電力会社の協力会社の社員らが動員されることになる。また、原子炉メーカー等の安全点検のプロも各地の原発を訪れる。その時期、唐津市内ではホテルを予約することが困難になる。何しろ電力会社が部屋を押さえているからだ。
唐津でも抗議デモが
唐津のような小さな街にいると、「地元っぽくない人」というのは雰囲気で分かるものである。これまで、数名の原発作業員(期間限定・技術者両方)と喋ってきたが、彼らの中には自分の仕事が何なのかを言わないようにしている、という人も少なくない。そしてたいてい、「東日本大震災までは原発作業員であることを特に隠すことはなかったが、あれ以降は言いづらい雰囲気になっている」と続けるのだ。
一時期、唐津でも原発反対派による抗議デモが定期的に行われていた。反対派は原発の危険性を訴え、電力会社や国の政策を批判する。原発に対して批判的な人と飲み屋で居合わせた場合、どんなに罵倒されるか分からない、だから自分は身元を明かさないようにしているのだ、と言う。私に原発作業員であることを明かした人々は、私が原発に対して批判的ではないことを見抜いて身元を明かしていたのだろう。
2021年2月、福島原発事故から10年の節目を迎える1ヶ月前に東京電力が取材陣を招き、現状を伝えるメディアツアーが開催され、そこに私も参加した。その様子は「現代ビジネス」に寄稿したのだが、東電の広報担当者の以下の発言を改めて紹介する。
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