「こっちは役場も立派やろ?」 イラン危機で注目を集める“原発再稼働”…玄海原発のお膝元で暮らす編集者が見た「原発のある街」のリアル

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地元の人は原発をどう見るのか

「近隣の方々が一時帰宅した時が一番辛かったです。私たちが作ったプラントがこの方々にとんでもない影響を与えてしまった。辛かったですが、自分たちでなんとかしなくてはいけない、と考えました。今でも地元の方から『東電のこの制服を見るのはイヤだ』と言われることがあります。しかし、長い時間をかけて皆さんと接するしかありません」

 廃炉に携わる作業員と福島の地元住民との間にできた緊張関係が、全国各地の原発がある地域でも発生している。もちろん、電力会社側は、東日本大震災の津波が想定外に高かったこと、また、冷却装置が動かないというダブルの想定外が発生したからあの未曽有の事故になったとは認識している。そして、事故以来さらに安全に対して細心の注意を払っている。しかし、メディアも市民も今なお、原発には厳しい目を向ける現実がある。

 玄海町には「玄海エネルギーパーク」という施設がある。ここは、簡単に言えば原発をPRする施設である。中に入ると基本的に「電力は火力・水力・原子力・その他を駆使して安定供給する必要がある」ことを各種展示や動画で説明される。原発のエネルギー効率の高さやクリーンさもアピールされるが、反対派からはこれらが欺瞞・詭弁であり、プロパガンダである、といった扱いをされる。

 では、肝心の地元民は原発をどう考えているのか。あくまで私の感覚だが、反対派も当然いるが、多くは中立であるという印象だ。知人が原発で働いていることもあるし、作業員が街にお金を落としてくれることもまた事実だからだろう。

 さらに、「原子力立地給付金」というものもあり、これは原発が立地する地元住民に年1回配られるお金である。玄海原発の場合、2025年は原発が立地する玄海町では1世帯あたり約8420円、唐津市(の一部)は4210円だった。いわば「納得料」のような形のお金だ。

原発があるからや

 佐賀県の地図を見てみると、広大な唐津市の中に玄海町だけがポツンと飛び地のようになっている様が分かる。これはなぜかといえば、2005・2006年「平成の大合併」の際、玄海町が唐津市への編入をしなかったためだ。というのも、玄海町は原発の固定資産税や電源立地地域対策交付金により、経済的自立ができるのだ。唐津の人と一緒に車で玄海町に入ると「こちらは役場も含めて立派やろ? 原発があるからや」と言われる。

 原発がある地の住民は、様々な思惑が錯綜する中にその身を置いている。彼らの原発に対する思いはそう単純ではない。反対してみたり、中立の態度をとってみたりと、話す相手、場所によって態度を変えたりもする。そして、メディアの紋切り型の原発批判には「そんなに単純な二元論じゃないんだけどな」と内心では思っている。

 夏の節電もあり得るため、これから原発について議論が始まるかもしれないが、地元の状況を一部紹介させていただいた。

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