「ほとんどの商品が値上がりする」 人気スーパー社長が警鐘 ガソリン代は「補助金のツケを国民が払うだけ」指摘も

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「場当たり的な対応」

 高市氏によるSNS投稿に対しては“限りある石油を垂れ流していいのか”など、批判的なコメントが殺到する始末なのである。

「今の政府は、場当たり的な対応に終始しているようにしか見えません」

 と指摘するのは、石油元売り大手の旧共同石油(現ENEOS)に勤務経験があり、石油流通システムに詳しい桃山学院大学経営学部教授の小嶌(こじま)正稔氏である。

「実行可能かどうか検証すらできない情報をSNSで発信するのではなく、現状で何がどの程度まで不足し、どういう優先順位で対策するのか。それについて説得力をもって国民に説明していくことが必要です。国が最悪の状況を想定して動かなければ、備蓄が尽きた時に経済だけでなく国民の心が折れ、パニックが起こってしまいます」(同)

「補助金を投入し続ければ、実態価格は下がらない」

 目下、高市政権による「令和のオイルショック」への対策は主に二つある。

 一つ目は3月16日から始まった石油備蓄の放出。二つ目は、累計約1兆円にも及ぶ石油元売り各社への補助金の支給で、レギュラーガソリンの価格を全国一律1リットルあたり170円程度に抑えることを目的としている。

「世界の中でも多い方とはいえ、日本の石油備蓄は約250日分しかありません。その放出は石油が本当に不足している時に行うべきで、価格を抑えるためにするものではありません。それなのに、補助金でガソリン価格を抑えて需要を喚起しながら、他方で備蓄を放出するのは支離滅裂。政府が本来やるべきは、限られた原油を経済活動に支障がないよう供給することです。優先したいのは、医療器具や日用品に使われるプラスチック製品などの原料となるナフサと、バスなどの公共交通機関やトラックなど物流を担う車のための軽油の生産です」(小嶌氏)

 実際、「全日本トラック協会」「日本バス協会」「全国ハイヤー・タクシー連合会」の運送業界3団体は、3月27日に軽油の安定的な確保などを求める要望書を、金子恭之国土交通相(65)に手渡した。すでに運送業界では、一部の燃料販売店が軽油の供給制限を始めた影響が出ているという。

「政府にとっての優先事案は消費の抑制、つまり需要規正です。主に自家用車が使うガソリンは、都市部なら電車やバスに代替することで節約できますが、経済活動の基盤であるナフサや物流トラックなどの軽油の節約を強いるのは難しい。事態が悪化してからでは遅過ぎます。ガソリンスタンドに掲げられた価格看板が目立つからか、政府はガソリン価格を下げることを優先するばかりで、国民の人気取りに終始しています。補助金を投入し続ければ、需要が喚起されて実態価格は下がらない。貴重な石油備蓄を減らすだけで、本質的な物価高騰対策を怠っているのです」(同)

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