親同伴の入社式で「早期離職率が下がった」企業も…“オヤカク”が広まる背景に「大学生はまだ子供」という保護者の認識
第1回【「さすがに過保護では?」「これじゃ入園式だよ」 保護者同伴の「入社式」にSNSでは辛らつな声も…専門家は「内定を伝えても“両親に相談します”と答える学生は珍しくない」】からの続き──。目下、保護者が同伴する入社式が増加していることに対し、SNSでは議論が伯仲している。(全2回の第2回)
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就活問題に詳しい、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は、今の企業がいかに学生の保護者を大事にしているかを解説する。
石渡氏が、その“象徴”として指摘する言葉が“オヤカク”だ。これは「親の確認」を省略して誕生した。企業側が大学生の内定者だけでなく、その保護者にも内定の同意や承諾を得ることを指す。
「就職氷河期が終わると、学生が複数の企業から内定を得ることは当たり前になりました。そして内定を伝えると、『両親に相談してみます』と答える大学生が多いことに企業側が気づいたのです。こうして親に『こっちの会社に入社しろ』と言われると、それに従う大学生の存在がクローズアップされました。親対策が必須のものとなり、企業は内定を出す際に保護者にも連絡して確認を求めるというオヤカクを2010年代から行うようになったのです。その後、企業の“保護者対策”は、どんどんきめ細かくなっていきました。保護者を自分たちにつなぎ止めるため、内定者の保護者を集めた懇親会や説明会を実施する企業が増えています。その結果、ならば入社式にも保護者を招待しようという流れになりました。実際、保護者同伴の入社式を実施すると入社辞退率と早期離職率が下がったという企業は現実に存在します」
「親同伴の入学式」にも強い批判
石渡氏によると、親子が入社式で盛り上がってくれれば単純に嬉しいという企業もある。注目を集めてマスコミが取材に来たり、親が入社式の様子をSNSに投稿してくれたりすれば、わが社のPRになると考える企業もあるという。
Xでは4月になると企業の入社式だけでなく、大学の入学式に保護者が同伴することも批判の対象となる。
「批判的な投稿が多いのは、『人生のどの段階から一人前の大人と見なすのか』という認識で世代間にズレがあるからでしょう。大学生は『大人ではなく子供』という前提に立った親子関係に違和感を覚える人がXに投稿していると考えられます。日本では大学進学どころか高校進学率さえ低かった歴史があり、大学生はエリート予備軍と見なされていました。そんな時代には『子供が高校を卒業し、大学に進めば大人として扱う』と考える人も少なくなかったのです。その感覚を今も持っている世代からすると、大学の入学式に親と一緒に出席するというのはおかしいという判断になります。ところがバブル期以降の日本は大学進学率の上昇が続き、高校生との違いが薄れていきました。結果、『大学生はまだ子供』と考える保護者も増えていったのです」(同・石渡氏)
さらに石渡氏は「大学生のほうに目を向けてみると、80年代や90年代の学生と比べ、やはり今は精神的に幼い学生が増えているのも事実だと思います」と言う。
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