「ハメネイ爆殺」を喜ぶイラン人がいてもトランプの「蜂起呼びかけ」には決して応じない事情

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無条件にアメリカを歓迎はしない

 駐イラン大使館参事官を務めたこともある元外務官僚の片倉邦雄氏は、

「トランプ大統領が本気でイラン国民の蜂起を期待していたとしたら、甘っちょろい考えだと言わざるを得ません。独裁者だったハメネイが殺されて喜んでいる国民がいるとしても、無条件にアメリカを歓迎はしない。実際、アメリカやイスラエルには小学校まで爆撃されているわけですから」

 苦い前例もある。

「イラク戦争のとき、アメリカ軍がまいていたビラを読んだことがあります。アメリカはイラクの政治体制を作り変えると意気込んでいました。が、結局は民主化どころかISが台頭して内戦状態に陥り、めちゃくちゃになりました」(同)

 現代イスラム研究センターの宮田律理事長は、現状をこう見る。

「私たちが目にするのは欧米経由の情報が多いので、反体制派が多い印象を受けますが、現実にはイラン国内でも地域差があります。例えば、テヘラン北部の富裕層は現体制を批判しますが、地方の貧困層には、今でも現体制を支持する人々がいる。欧米の報道がどこまで正確に国民の声を反映しているのかは、慎重に判断する必要があります」

 とした上で、

「密告社会のイランで反体制運動を組織するのは困難ですし、非常時で“国家に対する裏切り者になりたくない”という心理も働いている。これらが今、イランで反体制運動が大きくなりにくい要因になっているのでしょう」

 ついには“イランの石油を手に入れたい”などと身もふたもない発言に及んだトランプ大統領。ホルムズ海峡の霧が晴れる日は来るか。

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 4月2日発売の「週刊新潮」では、六つの視点からさらに詳しく「日本人の知らないイランの国内事情」について報じている。

週刊新潮 2026年4月9日号掲載

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