「むかついた。ぶっ殺す」 通行人をハンマーで殴り、包丁で突き刺して8名殺傷 池袋ポケセン刺殺で思い返される「もう一つの凶悪事件」
3月26日、池袋の商業施設「サンシャインシティ」内のショップ「ポケモンセンターメガトウキョー」で、21歳のアルバイト店員女性が刺殺された事件は、その凄惨さが世間に大きな衝撃を与えた。
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自らの首を刺し死亡した広川大起容疑者(26)は女性の元交際相手で、ストーカー規制法違反容疑などで逮捕・起訴され、1月に釈放されていた。毎日新聞の報道によると、警視庁は広川容疑者にストーカー行為を禁じる禁止命令を出し、併せてカウンセリングや治療を受けるように働きかけていたが、拒否されていたという。
事件の現場と犯行の凶悪さから、土地勘がある方ならば、1999年の「池袋通り魔事件」を想起したかもしれない。性質を異にする事件ではあるものの、犯人の身勝手な殺意が無辜の民の命を奪ったことには違いはない。
広川容疑者は自ら命を絶ったが、通り魔事件の犯人、造田博は死刑判決を受けながらもいまだ拘置所で暮らしているのだという。
なぜ彼は罪のない人を次々襲ったのか。そしてなぜ刑は執行されていないのか。事件を風化させないために、当時の状況から現在までを振り返ってみよう。(2025年9月8日配信記事をもとに再構成しました)
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「ボケナスのアホ全部殺すけえのお」
「池袋通り魔事件」が起きたのは、1999年9月8日のこと。白昼の東京・池袋で通行人をハンマーで殴り、包丁で突き刺し、死者2名、重軽傷者6名を出した惨事である。実行犯・造田博(23=事件当時)は2007年に死刑が確定したが、2026年現在、未だ刑は執行されず、拘置所での生活を続けている。遺族にとっては耐え難い事実であろう。
なぜ、造田は無差別殺人を起こしたのか。殺人罪などで起訴された造田は、法廷で、事件のきっかけは犯行の5日前にかかってきた無言電話だと述べている。造田は事件当時、足立区内の新聞販売店に勤務していたが、9月1日に遅刻し、所長から携帯電話の購入を勧められる。その携帯電話に9月3日、「無言電話」がかかってきた。造田はその電話の主を、普段から「努力しない人」と軽蔑している同僚従業員からだと思い込んだという――。造田は尋問でこう述べている。
「電話にむかついた」
「それで、日本に大勢いるような人に頭に来て、殺意が生まれた」
「日本という国は、あまりいい国ではない」
この翌日、造田はアパートに、
〈わし、ボケナスのアホ全部殺すけえのお〉
との書き置きを貼り付け、姿を消す。そして犯行に及ぶのだが、無言電話への怒りがなぜ無差別殺人へと繋がるのか、およそ理解しがたい主張である。
こうした不可解な言動もあり、公判で焦点になったのは、犯行時の造田の精神状態だった。弁護側は「被告は精神分裂病による妄想に支配され、物事の是非や善悪を判断する能力が全くないか不十分だった」と、心神喪失もしくは心神耗弱の状態にあったと主張、無罪もしくは刑の減軽を求めた。精神鑑定も行われた。
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