トランプ大統領に怯える「金正恩」 ベネズエラ→イランの次は北朝鮮!? 身辺警護は超厳重、軍事演習連発で“不安払拭”に躍起
軍事演習に出ずっぱり
このような国内の不穏な情勢とは逆に、最高指導者の金氏は表面的には強気の姿勢を崩していない。2003年のイラク戦争当時、金氏の父、金正日総書記は50日間姿を消していた。英BBCが韓国政府機関の情報として伝えたところでは、ほとんどの時間を首都平壌から約600キロ離れた中国との国境地帯にある両江道三池淵市の白頭山周辺にある保養地に潜んで過ごしていたという。
正恩氏は父とは対照的に、国民の不安を払拭しようとするかのように、3月はほとんど毎日、軍事演習を陣頭指揮するなど出ずっぱりの状態だ。
日程をざっと見てみると、3日、訓練基地で軍の「狙撃手の日」を記念して行われた射撃競技を視察。翌4日には新型駆逐艦「崔賢」号による戦略巡航ミサイル発射を視察し、全軍の高位指揮官に対し、対米戦略に言及して「核を保有しないと大きな戦争被害を受けることになる」との認識を強調。核抑止力の必要性を軍内部に再認識させるとともに、党大会で掲げた国防力強化方針の継続を求めた。
11日には同国の軍需産業を統括する第2経済委員会傘下の重要工場を視察。実際に室内射撃場で新型拳銃を発射し、「非常に立派な拳銃だ」と称賛した。14日には平壌市順安付近から弾道ミサイル10発以上を発射した。1度に10発以上が発射されるのは極めて異例だ。この日、米国務省のマイケル・ディソムブリ東アジア・太平洋担当次官補が韓国を訪問し、韓国外務省高官と朝鮮半島問題を協議しており、このミサイル発射は対米牽制の狙いがあったのは確実だ。
19日に首都防御軍団の訓練基地を訪れ、新型戦車などを動員した歩兵・機甲部隊の合同訓練を視察。訓練では「対戦車ミサイルや無人機を100%の命中率で迎撃し、能動防護システムを誇示した」とされ、自ら戦車に乗り訓練に参加している。
核兵器に“過信”
金氏の“カラ元気”の背景には、北朝鮮が核兵器を保持していることに基づく“過信”がある。トゥルシー・ギャバード米国家情報長官(DNI)は18日、米上院情報特別委員会の公聴会で「北朝鮮の大陸間弾道弾(ICBM)はすでに米本土に到達可能であり、核兵器庫の拡張に専念している」と警鐘を鳴らすとともに、「自信を強めた北朝鮮政権は、地域的にも国際的にも依然として懸念の的となっている。北朝鮮の大量破壊兵器(WMD)、通常兵器能力、違法なサイバー活動、非対称戦力の使用意図は、米国と同盟国、特に日本や韓国にとって重大な脅威となる」との分析を明らかにしている。
実際、ストックホルム国際平和研究所の2025年の報告によると、北朝鮮は約50発の核弾頭を保有しているという。また、2024年7月、韓国政府は、北朝鮮が短射程で主に戦場で使用される戦術核兵器の開発において「最終段階」にあると警告している。
これを裏付けるように、金正恩総書記がこのほど、北朝鮮が開発中の次世代ICBM「火星20型」に使用されるとみられる新型の炭素繊維製固体燃料エンジンの地上噴出試験を視察した。これは複数の弾頭を搭載する多弾頭化(MIRV)を念頭に置いたものとみられ、北朝鮮の核戦力能力が飛躍的に向上するとみられる。
その影響を直接こうむるのが隣国の韓国であり、日本海を挟んで隣り合う日本であるのは論を俟たない。北朝鮮と米国が戦闘状態に入れば、北朝鮮は米国の同盟国である日本と韓国への攻撃を辞さないだろう。日本には5万~5万5000人、韓国には約2万8000~2万9000人、両国合わせると約8万人の米軍が駐留しているからだ。
「北朝鮮有事」はすなわち日韓両国に直接的な影響を及ぼし、日本が戦渦に巻き込まれることは不可避と判断せざるを得ないのである。
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