入学シーズンの風物詩…「定期券購入」の大行列はいつになったら解消される? “みどりの窓口”激減で「さらに混雑が増している」の声も

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 4月は入学式や入社式のシーズンである。この時期になると、鉄道会社の窓口が定期券を買い求める人で大混雑する。その風景は春の風物詩となっているが、並んでいる側からすると「体力を消耗する」「疲れる」と不満の声が大きいのも事実だ。

 こうした混雑は、ITが発達した現代になってもあまり解消されていない。むしろ、みどりの窓口を減らしているJR東日本やJR西日本の駅などでは、「ますます混雑が激しくなっているのではないか」と不満を述べる人も少なくない。

 なぜ、窓口の混雑をなくすことができないのか。駅側はどのような対策を講じているのだろうか。JRグループの現役社員であるA氏に話を聞いた。【取材・文=宮原多可志】

定期券の購入の際には確認事項が多い

――なぜ、新規に定期券を購入する際には、手間と時間がかかるのでしょうか。

A:定期の区間だけでなく、個人名や電話番号など、間違えてはいけない入力項目が多く、確認しながら入力するためです。通学定期はこれに加え、通学証明書の内容を精査する作業に時間を要するため、手間がかかります。

 確認事項は、そもそも通学証明書が期限切れになっていないか、申告された定期区間と学校から認められた通学区間が合致するかなどです。正直、通勤定期はみどりの窓口に来るよりも、券売機を使ってご自身で入力していただき、買ったほうが早いと思います。

――定期券を購入する時期は、今でも行列ができますか。

A:めちゃくちゃ列ができます。ネット上で申請可能な、モバイル端末に対応しているエリアの学生さんは、窓口に来なくても買えるでしょう。しかし、地方はまだまだ“磁気定期券”のエリアがほとんどですから。

 当社の地方の駅では、近隣の高校の入学式の日程を把握し、4月の一時期定期対応の要員を複数人置くようにしています。最近はみどりの窓口が少なくなっているため、入学式の日は、対面で発売が必要な通学定期を買い求める学生の列ができます。

 最近になって「一度通学証明書を出して卒業年度が登録された定期券を所持している在校生は、新年度も継続して券売機で買える」ように制度が変更されました。そのため、現在は基本的に新入生のみ、みどりの窓口で定期券の販売対応をしています。以前より混雑は緩和されたとは思いますが、それでも列ができることには変わりありません。

意外に少ないクレーマー

――しかし、あれだけ列ができるとイライラする人も多そうですし、クレーマーも少なくないのではありませんか。

A:意外に思われるかもしれませんが、クレーマーは通常の窓口業務のときよりもはるかに少ないと思います。もっとも、うちの駅周辺だけかもしれませんが……。

 当社では、入学説明会に赴いて定期券の買い方について、父兄の方向けに説明会を実施しています。先生方からも、新入生に対して定期券についてのパンフレットや申込書を配布していただけるようにお願いしたりと、可能な範囲内で事前周知をしています。

 そのため、申込用紙や通学証明書にあらかじめ記入し、必要書類が揃っている状態で窓口にお越しいただけることが多く、手続きも比較的スムーズなのです。もちろん、大学や専門学校など、説明会を実施していない学校もあるので、すべてをカバーできているわけではありませんが……。

――とはいえ、クレームが少ないのは意外ですし、駅員にとっても良いことですよね。

A:ただし、あくまで定期券を買いに来られたお客さまからのお叱りが少ないだけ、ともいえます。通常通り切符を買いに来られた方からは、「なんでこんなに混んでいるんだ! 今すぐ乗りたいだけなのに!」と叱られることは、毎年あります。

 対策を考えていますが、なかなか良い方法が見つからず、模索中です。特に、首都圏から出張で来ているサラリーマンの方が「早く切符を買わないと新幹線に乗り遅れる!」と、お怒りになっているのをよく見ます。

 未だに通学定期券をみどりの窓口で買うという、地方の現状が信じられないのかもしれません。地域住民の方は、「今日は市内の高校さんで入学式があったので」と説明すると、「ああ、そうなのね。急いでないから明日来るわ」と納得して、帰られることが多いです。まだまだ、定期券は窓口で買うもの、という意識があるのでしょうかね。

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