開幕3連敗で「中日復活」はどうなる? 「球団創設90周年」を占うホームランウイングの“弊害”とは 「井上監督は我慢の采配が続く」との声も
ホームランウイングの弊害
オープン戦で興味深いデータが弾き出された。中日がオープン戦18試合で放った本塁打数は16本。総得点は77。両方とも12球団トップの数値である。
「11日のヤクルト戦で、細川成也(27)が右方向へのホームランを放ちました。オープン戦でいちばんベンチが盛り上がったホームランがその一発です。『あれで(ホームランウイングに)入るんだ』とSNSでも話題になりました」(前出・同)
ライナー性の打球が、そのままホームランウイング席に突き刺さったといった感じだった。ホームランウイングは外野フェンス前に観客席を設けたもの。外野フェンスは従来の4.8メートルの高さから3.6メートルに変わり、右中間、左中間までの距離も116メートルから110メートルまで短くなった。扇形だった球場が菱形になり、オープン戦で対戦したチームのスタッフからは「東京ドームに似てきた」との声も聞かれた。
「ホームランが出やすくなったこと」は12球団トップの数値が証明するように、得点力を大きく高めたが、施工前から懸念されていた「失点も増える」問題も表面化してしまった。
中日はバンテリンドームナゴヤでオープン戦9試合を行い、総失点は「36」。1試合平均4失点で、うち2試合は2ケタ失点のワンサイドでの敗戦となり、相手チームに献上した総本塁打数は「7」。打線が一度も2ケタ得点の大勝を収めていないのも気になるが、投手陣が踏ん張りきれていないとの印象は否めない。このオープン戦を経て、先発投手が序盤で失点したら、スタンドのファンもシラケてしまうだろう。ライバル球団のスタッフからは、こんな指摘も聞かれた。
「今季の中日は故障者が出ても、代わりの選手の名前がすぐに聞かれるようになりました。選手層が厚くなったのは間違いありませんが、それは井上監督の期待と共に、どれだけ我慢できるかを意味しています」
一例が昨季、本塁打17、打点52、盗塁27のキャリアハイを記録し、レギュラーの座を掴んだ上林誠知(30)がコンディション不良で開幕メンバーから外れたこと。同時にカリステ(34)、鵜飼航丞(26)、樋口正修(27)、板山祐太郎(32)といった左翼手候補の名前が挙がり、さらに「ブライト健太(26)がファーム戦で2試合連続本塁打を放った。大島洋平(40)の調整も順調」といったニュースも飛び込んできた。
井上監督が地元テレビ局のインタビューで打順を明言しなかったのは、上林の代役が誰に決まるかでクリーンアップの編成も変わってくるためだった。一見、嬉しい悩みにも見えるが、スンナリ代役が決まらないのは、候補者全員が決め手に欠くからである。ただ、「決め手に欠く」とは、伸びしろを含んでいることでもある。井上監督は選手が結果を出せない状況でも、我慢して起用していかなければならない。
これまでと違う野球
「前任の立浪和義監督(56)の時代は実力不足だった若手が徐々に結果を出し始め、これからは好調の持続とシーズンを乗り切る体力が求められます。あと一歩のところまで来ています」(前出・名古屋在住記者)
結果の出ない選手をすぐに交代させれば、成長はない。かといって、チャンスは全員に与えてやりたい。今の中日は過渡期にあり、「誰かを差し置いてでも使いたい」と思わせるまでに突出した選手がまだいないのだ。「我慢のシーズンになる」と予想されるのはそのためだが、今季は球団創設90周年のメモリアルイヤーでもある。非情に徹しなければならないときも来るだろう。
そのためにも投手陣が最少失点に抑え、一人でも多くの野手を打席に立たせてやらなければならない。キャンプ序盤の2月7日、大島宇一郎オーナー自ら足を運び、やはりホームランウイングについて触れ、「これまでとは違う野球が求められることになる」と円陣を組んだ選手たちに言い切った。
ホームランウイングは、得点と失点の両方を激増させる“魔物”ともなりそうだ。
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