MLBのホームラン王も“超不運助っ人”も…開幕直後に消えた外国人列伝

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超不運な助っ人

 1軍初出場の試合でアキレス腱を断裂したのが、2021年の巨人、エリック・テームズだ。

 韓国・NC時代の2015年にフォーティー・フォーティー(47本塁打、40盗塁)、ブルワーズ時代の2017年に31本塁打を記録したテームズは、日本でも30本塁打以上をマークし、史上初の「日韓米トリプル30」なるかと注目された。

 だが、コロナ禍の影響で来日が3月末まで遅れたことが、今にして思えば不運の始まりだった。

 2軍戦9試合で打率.500、4本塁打と格の違いを見せ、4月27日に1軍登録されたテームズは、同日のヤクルト戦に6番・レフトで出場。1回2死満塁の来日初打席は、フルカウントから空振り三振に倒れた。

 そして3回の守備中に、選手生命にもかかわるアクシデントに見舞われる。1死一、二塁でオスナが放った左前打をワンバウンドで処理しようと跳躍したテームズは、着地した直後に顔をしかめ、うめき声を上げて倒れ込んでしまった。

 その後、右アキレス腱断裂で全治6~8カ月の重傷と判明し、シーズン中の復帰は絶望となった。来日が遅れて準備不足だったこと、不慣れな人工芝での守備、一塁が本職なのにレフトを守ったことなど、めぐり合わせの悪さや不運が重なった結果としか言いようがない。

 手術を受けるため4月30日に帰国し、ポストシーズンでの復帰を目指したテームズだったが、シーズン終了を待たず、8月23日に自由契約となった。日本ハムから中田翔を無償トレードで獲得した余波とも噂された。今でも“超不運な助っ人”として記憶されている。

チャンスすら十分に与えられず

 来日デビュー戦で左手首を骨折し、シーズンの大半を棒に振ったのが、2022年に楽天入りしたクリス・ギッテンスだ。

 19年にヤンキース傘下の2Aで打率.281、23本塁打、77打点を記録した193センチ、113キロの右の長距離砲は、前年にメジャー初昇格を果たし、石井一久監督もポイントゲッターとして期待をかけた。

 ところが、3月中旬の来日後、2軍調整を経て1軍登録された4月5日の西武戦に5番・DHで出場したものの、3回の2打席目に空振りした際に左手首を痛め、同8日、骨折していることが判明。全治3カ月と診断され、ネット上でも「空振りで骨折とはやばすぎやろ」「去年と言い、出場1試合目で死ぬのやめろ」などの声が上がった。

 「去年」とは、前年も新外国人のルスネイ・カスティーヨが、1軍初出場となった4月23日の西武戦の1打席目でファウルを放った際に左脇腹を痛めて登録抹消されたことを指している。楽天にとっては2年続きの災難となった。

 同年は出場21試合に終わったが、右打者が手薄なチーム事情もあり、翌年も首がつながった。しかし、コンディション不良や故障などで1度も1軍の試合に出場できないまま、オフに解雇された。

 冒頭でも紹介したハワードは、現役引退後にパドレスとメッツの監督も務め、「ケガさえなければ、ホーナー(元ヤクルト)ぐらいはやれたぜ。それだけが今も心残りなんだ」(栗原富雄著『あの助っ人外人たちはいま』実日新書)と回想していた。

 助っ人は結果がすべての世界とはいえ、今回紹介した選手たちは、その結果を残すチャンスすら十分に与えられなかった。期待とともに来日しながら、開幕早々に姿を消したという事実は、外国人選手の厳しさと不運をあらためて物語っている。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘! 激突! 東都大学野球』(ビジネス社)

デイリー新潮編集部

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