「大器」がセンバツで見せた一発と試練 山梨学院・菰田陽生の“評価の分岐点”
大会序盤からスカウトの視線を集める好素材が次々と登場している第98回選抜高校野球。その中で、横浜のエース・織田翔希(3年)と並び強いインパクトを残したのが山梨学院の菰田陽生(3年)だ。194cm、101kgという高校生離れした体格を誇り、早くから大器と評されてきた逸材である。【西尾典文/野球ライター】
高校生ナンバーワンの長打力
初めての甲子園となった昨年春の選抜ではリリーフで3イニングの登板にとどまったが、ストレートの最速は152キロをマークした。続く夏の甲子園では準決勝の沖縄尚学戦で右肘に違和感を覚えて降板したが、4試合に先発して19回2/3を投げて3失点と、春から成長した姿を示した。
菰田の魅力はピッチングだけではない。打撃では早くから中心を担い、昨年夏の甲子園では4試合で15打数7安打6打点、打率.467を記録した。肘の故障の影響で投球が本調子ではなかった秋、関東大会3試合で12打数7安打と結果を残し、準々決勝の浦和学院戦ではセンターバックスクリーンへ飛び込む特大弾を放っている。
そして迎えた今春の選抜。初戦の長崎日大戦で、その実力を改めて証明した。2番・一塁で先発出場すると、1回の第1打席で初球のカーブを振り抜き、打った瞬間に分かる一発をレフトスタンドに叩き込んだ。この本塁打をきっかけにチームは初回に5点を先制。試合の主導権を握り、5対3で勝利した。
試合後、菰田はこの一打についてこう振り返っている。
「相手のピッチャーはカーブが良いことは分かっていたので、最初からカーブは頭にあって狙っていました。ホームランは狙っていたわけではなく、まずはヒットで出塁することを考えていましたが、思いっきり振り抜いた結果がホームランという形になったので良かったです」
初対戦の投手の変化球を一振りで仕留め、結果に結びつけるあたりは並の打者ではない。相手先発の古賀友樹(3年)のカーブは映像で確認し、先頭打者への投球もチェックしていたという。準備の質の高さから、能力に加えて思考の深さがうかがえる。視察したNPB球団のスカウトからは、打撃を評価する声が上がった。
「第1打席のファーストスイングでいきなりあれだけの当たりを打てるのは驚きました。一発で目が覚めました(笑)。一昨年に飛ばない金属バットになってから、なかなか見ない打球の勢いと飛距離でしたね。あの体格があるので、目いっぱい振っているように見えなくてもよく飛びます。徐々にスイングに柔らかさが出てきました。まだ苦手なコースはありますが、長打力は高校生の中でもナンバーワンでしょう」(関東地区担当スカウト)
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