「大器」がセンバツで見せた一発と試練 山梨学院・菰田陽生の“評価の分岐点”

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次につながることをしていきたい

 課題として挙がるのは内角の速球への対応だ。長身で腕の長い打者に共通するポイントでもある。長崎日大バッテリーは第2打席で内角を徹底して攻め、最後は外のスライダーで打ち取った。三塁線へのファウルも窮屈な形でのスイングだった。

 こうした攻めに対する対応力の向上も見えた。試合後、内角攻めについてこう語っている。

「インコースを攻められているというのは、第2打席の(内角に来たストレートの)2球を見てすぐに分かりました。インコースを攻められるというのは想定していましたし、練習もしてきたので、そこを仕留める対応力もついてきたと思います」

 5回の第3打席では内角を意識した構えを見せたうえで、外角のカーブをしっかりとらえてレフト前へ運んだ。内角を直接打ち返したわけではないが、この駆け引きには成長がにじむ。

 しかし、その直後に試練が訪れる。5回の守備で送球が逸れた際に打者走者と激突し、左手を負傷。6回からベンチに退いた。翌日の診断は左手首の骨折。復帰時期は不透明で、しばらく実戦から離れる可能性が高い。

 この状況について、スカウトは評価の難しさを指摘する。

「手首は打撃にとって重要な部分ですから無理はさせたくないですね。利き腕の右手ではない点は不幸中の幸いですが、投手としての調整にも影響は出るでしょう。投打両面で魅力がある選手で、実戦の機会が減ると判断は難しくなります。夏まで出場できないとなれば評価は分かれるでしょう」(関東地区担当スカウト)

 それでも菰田は前を向く。

「これまで大きな怪我はなく、こういうアクシデントも初めてです。診断結果は分からないですが、自分が下を向いていても何も始まらないと思うので、チームにプラスになる声かけなど、次につながることをしていきたいと思います」

 能力の高さに加え、野球に向き合う姿勢を評価する声が多いのは、このコメントからもよく分かる。試練を乗り越えた先にどんな姿を見せるのか。夏に向けた回復と進化に注目が集まる。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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