なぜ? 外国漁船が“メバチマグロを乱獲”したせいで日本の漁船がスクラップ処理…日本のマグロ漁船が55年前の“10分の1”に激減した意外すぎる理由

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減船は“連帯責任”

 資源の枯渇化を防ごうと、IOTCは昨年4月の年次会合で、メバチマグロを保護するため、各国の漁船数を3割削減するよう勧告した。対象は漁獲枠を超過した国だけではなく、すべての加盟国。まるで連帯責任といった具合だ。

 日本もこれに同調し、マグロ団体が減船する方向で調整を進め、19隻をスクラップにする減船計画を同庁に申請した。廃船する漁業経営者には、国の救済措置として漁船の条件により、1隻当たり数千万円の交付金が支給される。

 日本の遠洋マグロ延縄漁船は現状で合計約130隻。このうち、半数を超えるおよそ70隻がインド洋で操業している。漁業関係者によると、国へ減船を申請している19隻のほかにも、廃船処理を余儀なくされる延縄漁船もあるという。残る漁船は100隻余りとみられ、ピークとなった1971年(約1000隻)の1割ほどにまで勢力が縮小することになる。

 これまでの減船は、主にクロマグロ保護策として進められた。1999年に国連食糧農業機関(FAO)が漁獲能力の2割削減を勧告し、日本は132隻を減船。2008年には、WCPFCが漁獲圧の3割削減を勧告したことで、64隻を減船した経緯がある。今回はそれに次ぐマグロ延縄漁船の「国際協調減船」と呼ばれる措置だ。

 ただ、今回、スクラップ処理される延縄漁船は、建造から数十年が経った船齢の高い漁船がほとんど。維持費もかさむため、国の救済措置が出たのを機に、廃船を決断した漁業経営者も少なくない。

他国が獲ったマグロを日本が輸入

 一部の減船を予定している宮城県気仙沼市の漁業経営者は、「マグロ漁業は近年、儲かる商売ではなくなっている。(減船を機に)儲かる産業に変えていかなければならない」とこぼす。一方で、この漁業経営者は「日本はこれまで減船を続け、マグロ(類)の漁獲量を減らしてきたが、逆に増やしている国もある。他国が大量に獲ったメバチマグロを日本が輸入し、消費している現状にはやり切れない思いを抱いている」と指摘。ルール無視の漁業撲滅の必要性を強く訴えている。

 クロマグロだけでなく、庶民の味・メバチマグロの資源悪化はぜひとも防いでもらいたい。ちなみに、メバチマグロは太平洋や大西洋でも漁獲されることもあり、今回の減船による日本の流通量や価格への影響は、少ないとみられている。

川本大吾(かわもと・だいご)
時事通信社水産部長。1967年、東京生まれ。専修大学を卒業後、91年に時事通信社に入社。長年にわたって、水産部で旧築地市場、豊洲市場の取引を取材し続けている。著書に『ルポ ザ・築地』(時事通信社)。『美味しいサンマはなぜ消えたのか?』(文藝春秋)。最新刊に『国産の魚はどこへ消えたか?』(講談社+α新書)がある。

デイリー新潮編集部

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