香川照之「新作サイコ・サスペンス映画」が異例のヒット 「劇場で私の姿を見られるのは最後かも」と漏らした“恩人”への思い
異例のヒット
俳優の香川照之(60)が主演した映画「災 劇場版」が、異例のヒットとなっている。2月20日、全国わずか44館での公開となったが、3月4日までの公開13日間で、興行収入5000万円を突破したことを配給元が発表した。
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「100館以上で公開されても、興収が5000万円に届かない作品が多いなか、異例のヒットと言えるのでは。3月に入ってから50館以上に公開規模が拡大し、都心の劇場では平日の昼でも7割以上の席が埋まっている。客層は40代以上が多い印象です」(映画担当記者)
2月21日、都内の劇場で行われた公開記念舞台あいさつに、香川は共演の中村アン(38)、竹原ピストル(49)らと出席した。同作は、2025年にWOWOWで放送された連続ドラマW「災」の劇場版で、1話完結の全6話を大胆に再構築。香川が1人6役を演じ、その男が交わることのないはずの6人の日常に紛れ込んでもたらす災いを描いたサイコ・サスペンスだ。
香川は「この6役をやれば、もうほぼやることはない」と達成感をにじませ、「劇場で私の姿を見られるのは、もう最後かもしれない」とつぶやくと、中村から「そんなこと言わないでください」とツッコまれる一幕もあった。
香川はこれまで、TBS系のドラマシリーズ「半沢直樹」の大和田常務役や、映画「クリーピー 偽りの隣人」(16年)などで悪役を演じた経験がある。それをふまえ観客に、「僕の中では陽の方向の悪役と、陰の方向の悪役の集大成が整ったという感覚でございます。なので、1人でも多くの方に見ていただきたい」とアピールした。
同作で香川が演じ分けたのは、千葉の船員、神奈川の進学塾の数学講師、福岡のトラック運転手、宮城県の大麻を密売している酒屋の店員、神奈川県警の用務員、愛知県のガソリンスタンドの店員……6役と言われているが、実はほかに愛知県でスポーツクラブに通う男と、北海道の酪農関係で働く男も演じており、どの役も実にうまく“ハマっている”印象だ。
気鋭の製作スタッフ
演じた男はいずれもあまり存在感を出さず、行く先々で姿、口調、顔つき、性格、所作を変え、経歴なども当たり前のように詐称する。そばにいたり会話を交わしたりした人々に災いがもたらされ、いずれも多くの謎を抱えた事件となる。そして、現場にはある共通点があり、それに気付いた中村演じる刑事が事件の真相を追う。
香川が演じる男と関わったことで災いをもたらされる人々の役を、安達祐実(44)、松田龍平(42)、お笑いコンビ・シソンヌのじろう(47)らが演じている。
「家庭環境が複雑で大学進学に悩む女子高生、アル中が原因で離婚した妻と復縁を望むトラックドライバーら、“明るい未来”が見え始めた人々が被害者となります。しかし、香川が演じる“男”が直接手を下した証拠がまったく見つからないため、過去の事件で家族を失った被害者は『天災にあったようなもの』と割り切っているのも特徴的です。もう一つ、不朽の名作『ジョーズ』(1975年)でサメが現れる時、おなじみのテーマ曲が流れて観客の恐怖をあおりますが、今作では災いがもたらされる前兆として美しいピアノの旋律が鳴り響きます。ストーリーの構成・展開や、音楽の使い方が並のクリエイターとは一線を画している」(同前)
今作の監督・脚本を手がけたのは、NHK Eテレの幼児向け教育番組「ピタゴラ・スイッチ」を監修した東京芸術大学名誉教授の佐藤雅彦氏とともに、2020年から監督集団「5月」を主宰する平瀬謙太朗氏と関友太郎氏。
実は、2022年に公開された、香川にとって14年ぶりの単独主演映画「宮松と山下」は「5月」の初長編映画だった。香川演じる、記憶をなくした端役専門のエキストラ俳優・宮松をめぐる物語が描かれたのだが、同作で香川は「5月」に大きな“借り”を作った経緯がある。
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