「現行予算では半年もたない」 高市首相の原油高対策に専門家は「こんな愚かな政策は聞いたことがない」

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市場の原理を無視

 結局、割を食うのはスタンドや客だという。

「いつ中東情勢が落ち着くか分からないなら、政府は限られた原油の需要を抑制する政策を行うべき。高市さんたち政治家は、本当に国民のことを考えているんですかね。政治的なパフォーマンスでこれ以上に現場が混乱するなんてたまったもんじゃない。パフォーマーならEXILEだけで十分だよ」(三枝氏)

 ちなみに、主要7カ国(G7)で、政府が末端価格を決めて補助金を出しているのは日本だけという。

「こんな愚かな政策は聞いたことがありません。とても“責任ある積極財政”とはいえず、“盲目的な積極財政”ではないでしょうか」

 と指摘するのは、石油の流通システムに詳しい桃山学院大学経営学部教授・小嶌正稔(こじままさとし)氏。

「このままガソリン価格が上がり続けると、政府は何をやっているんだと批判されかねない。それを防ぐために170円まで下げておこうということでしょう。この仕組みでは、ガソリン価格が上がり続ければ、際限なく国が補助金を投入することになる。責任ある政策の前提は、必要とする金額が事前に分かっていることです。本来ガソリン価格が高騰するとドライバーの行動が抑制的になるのです。“ガソリン代がかかるから遠出を控えよう”とか“なるべく燃費を良くして走ろう”といった具合になって全体の需要が減る。そうなるとガソリン価格も自然に下がっていくのです」(同)

 つまり国は市場の原理を無視して、170円という価格を決めてしまったことになるのだ。

「仮に小売価格が170円を下回る情勢になっても、皆が補助金で助かったと錯覚して、どんどん給油すれば価格は下がらない。危険がどのように収束するかも分からない状態で、この補助金の仕組みは、逆に需要を喚起してしまいます。高騰対策と同時に、需要を抑制することの必要性が分かっていない」(同)

他国からいくらか原油を融通してもらえたとしても……

 もっとも懸念されるのは、いくら補助金を投入しても肝心の石油備蓄が底をつき、日常の生活はもとより日本経済の動きが止まってしまう恐れがあること。仮に他国からいくらか原油を融通してもらえたとしても、そうは問屋が卸さない。

 常葉大学名誉教授の山本隆三氏が言うには、

「中東以外の国から輸入すればいいのではないかと思われるでしょうが、中国やインドネシアは国内需要が増えて輸出量が減っており、ロシアは制裁下です。また日本の製油所では『中重質油』を取り扱うことが多く、米国のシェールオイルは『軽質油』なので精製効率が落ちて大量の使用は難しい。今から製油所の設備を変えるとなれば、莫大(ばくだい)な投資と時間が必要なので簡単なことではないのです」

 実際には石油不足の影響はほとんどないといわれるが、店頭では、トイレットぺーパーの買い占めを警戒する動きも出てきた。令和のオイルショックを高市氏は乗り越えることができるのか。

 前編では、高市首相の健康状態への不安について、周囲の声を紹介している。

週刊新潮 2026年3月26日号掲載

特集「『イラン攻撃』『体調不良』『令和のオイルショック』 三重苦にあえぐ高市首相」より

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