自滅寸前から「1打差で優勝賞金7億円」へ 3月の米男子ゴルフ、選手を導いた「キャディの深すぎる言葉」とは

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賞金が「破格」の8試合

 PGAツアーには、レギュラー大会に比べてはるかに高額の賞金が設定されたシグネチャー・イベントが年間8試合ある。いずれも賞金総額は2000万ドル(約32億円)と破格である。

 そして、8つのシグネチャー・イベントの中で、タイガー・ウッズが大会ホストを務めるザ・ジェネシス招待とアーノルド・パーマーの名が冠されているアーノルド・パーマー招待、ジャック・ニクラスの大会であるメモリアル・トーナメントというレジェンドゆかりの3大会は、賞金総額は2000万ドルのままだが、優勝賞金は一層高く設定されている。

 他の5つのシグネチャー・イベントの優勝賞金が360万ドル(約5億7000万円)であるのに対し、レジェンドゆかりの3大会は400万ドル(約6億3000万円)と超破格。その分、優勝争いに絡んだ選手が感じるプレッシャーは、想像を超えるほど多大に違いない。

 フロリダ州オーランドのベイヒル・クラブ&ロッヂで開催された今年のアーノルド・パーマー招待(3月5~8日)は、初日から3日目まで首位を快走していた32歳の米国人選手、ダニエル・バーガーが5年ぶりの復活優勝を完全優勝で飾るだろうと予想されていた。

思い出せ、あのときのことを

 最終日を迎えたとき、バーガーは通算13アンダーで単独首位。2位には、やはり米国出身の24歳、アクシャイ・バティアが付けており、2人の差は、わずか1打。バティアが逆転する可能性は、もちろんあった。

 しかし、堅実なゴルフを続けていたバーガーが前半でスコアを2つ伸ばしたのに対し、バティアは逆にスコアを2つ落とし、2人の差は5打へ広がった。

 もはやバーガーの独走態勢になりそうだったそのとき、バティアのバッグを担いでいた相棒キャディのジョー・グレイナーは、落胆気味になりつつあったバティアに「ペブルビーチのときのことを思い出せ」と声をかけたそうだ。

 今年2月にカリフォルニア州の名門コース、ペブルビーチで開催されたシグネチャー・イベントのAT&Tペブルビーチ・プロアマ。バティアは最終日を単独首位で迎え、一時は2位に5打差を付けてリードしていた。しかし、重いプレッシャーに押しつぶされ、最終的には6位タイに甘んじた。

「ペブルビーチで5打リードしたあのとき、キミのメンタル面がどれほど厳しいものだったかを思い出してごらん。今、ダニエル・バーガーは、あのときのキミと同じものを感じているはずだ」

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