自滅寸前から「1打差で優勝賞金7億円」へ 3月の米男子ゴルフ、選手を導いた「キャディの深すぎる言葉」とは

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「まだまだチャンスがある」と思えた

 そう言われたバティアは、「そうか。そうだよね」と気づかされ、「まだまだ何が起こるかわからない。たとえ5打リードされていても、まだまだ自分たちにもチャンスがある」と思うことができたそうだ。

 そんなふうに気持ちを切り替えた途端、バティアのゴルフは勢いを取り戻し、10番から13番まで4連続バーディーを獲得。パー5の16番では池越えの第2打をピンそばに付けてイーグルを奪い、バーガーに1打差まで迫った。

 バティアの猛チャージに動揺したバーガーが17番で3パットのボギーを喫したことで、ついに2人は首位に並び、サドンデス・プレーオフへ突入。失速気味だったバーガーがパーパットを外した一方で、バティアはきっちり2パットのパーで収め、レジェンド大会を制して優勝賞金400万ドルを手に入れた。

 あのキャディの一言が無かったら、バティアの勝利はなかったかもしれないと思う。

「グッド・ゴルフ」につながるもの

 A・パーマー招待の翌週にTPCソーグラス(フロリダ州ポンテべドラビーチ)で開催されたザ・プレーヤーズ選手権(3月12~15日)は、PGAツアーが誇るフラッグシップ大会である。賞金は年間8つのシグネチャー・イベントよりもさらに高額で、賞金総額2500万ドル、優勝賞金450万ドルと、まさに夢のような金額だった。

 最終日。早々に崩れ始めた最終組の2人と入れ替わるように、優勝争いは31歳の英国人選手、マシュー・フィッツパトリックと28歳の米国人選手、キャメロン・ヤングの競い合いになった。

 序盤からバーディーを重ねたフィッツパトリックがやや先を行く展開を目にして、ヤングが焦燥感を覚え始めていたことを、ヤングの相棒キャディのカイル・スタービンスキーは、すかさず見抜いていた。

 ヤングとスタービンスキーは、ゴルフの名門ウェイクフォレスト大学ゴルフ部のチームメイトで、旧知の仲。ヤングのメンタルコーチが「キミの相棒キャディに最適な人物はカイル・スタービンスキーだ」と勧め、2人は昨年からタッグを組み始めた。

 そして、日ごろからスタービンスキーは、プレー中のヤングの心の状態を何より気にかけていた。この日もヤングの苛立ちや怒りを感じ取って、呟くように、こう言ったそうだ。

「ハッピー・ゴルフがグッド・ゴルフにつながるんだ」

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