「アナログ画材」復権の背景に“経済格差”と“地域格差” スマホはあってもパソコンを持たない家庭環境も一因か…あえてアナログで絵を描き始めるメリットも

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アナログから始めたほうが画力がつく

 アナログに注目が集まる要因が、家庭の懐事情や地方と都会の格差にもある、というのは少々悲しい話であった。その一方で、「アナログから絵を描き始めたほうがいいし、むしろ良いことではないか」と、ベテランの漫画家やアニメーターは歓迎する。

 アニメーターが動画を描く技術を図る「アニメータースキル検定」を主宰するNAFCAも、検定試験は鉛筆と紙を使ったアナログで実施している。事務局長の福宮あやの氏がこう話す。

「アニメーターの世界では、現在も鉛筆と紙で絵を描いている人も少なくありません。それに、私たちがアナログにこだわるのは、“アナログで絵を練習したほうが時代に流されない実力がつく”と、ベテランのアニメーターのみなさんが口を揃えておっしゃるからです。

 どんなにデジタル化が進んでも、結局道具が変わっただけで、手で描くことに変わりありません。その基礎を作るのは、補正ができないアナログなんですよ。また、デジタルで始めた人はアナログになると画力が落ちるといわれる一方、アナログから始めた人はデジタルになっても画力は変わらないともいわれます。アナログで身に付けた技術は無駄にならないと確信しています」

 日本では教科書のデジタル化を進めようとしているが、一方で、早くからそれを進めていたスウェーデンは紙の教科書に回帰した。世界でも有数のIT先進国だったスウェーデンが“脱デジタル”を図る背景には、紙の教科書を使い、紙に書いて覚えたほうが、学力が上がるという研究があるためだ。

 それはどうやら、学力だけでなく、絵を描く技術にも同じことが言えそうである。デジタル全盛の時代だからこそ、かえって注目が集まっているアナログ。これから絵を描き始めようと思った人は、敢えてアナログから始めてみても良さそうである。

第1回【色紙にマーカーで“一発描き”する動画に「凄い!」…「生成AI」「デジタル作画」全盛の時代に“アナログ画材”が再評価される納得の理由】では、デジタル画材が全盛の今、アナログ画材の人気が復活しているという実態、そしてアナログ画材の魅力について紹介します。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部

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