衝撃の展開が続く「リブート」最終盤 残る謎「スパイは誰か」 回収されていない「伏線」とは
一香の悲しいウソ
第8回、家族のために悲しいウソを吐き、死んでいったことが分かったのは本物の一香である。顔を含めた自分の存在を合六に1億5000万円で売り渡した。
一香の存在は夏海が受け継いだ。その夏海に向かって一香は「このお金で綾香を助けてほしい」と頼む。綾香は重い肺病を患い、移植手術を受けなければ生きられない。その手配を自分でやることを一香は否定する。「あの娘の面倒を見るのに疲れちゃった」と言い放ち、今後については「海外に行って、遊んで暮らす」と言った。
ウソだ。合六からの報酬の全額を夏海に託しながら、どうやって海外で遊んで生活するというのだ。その直後に一香は合六の手下に射殺された。綾香のために死ぬことを覚悟していたのではないか。だから夏海に1円も残さず託し、移植を依頼した。
「面倒を見るのに疲れた」。もし一香が病床の綾香を疎ましく思う薄情な姉なら、成り代わった夏海はやさしかったので、不審に思われるはず。綾香が夏海を受け入れたのは一香もやさしかったからだ。
憎まれ口を叩いた一香は、早瀬を使って麻友に「女と海外に逃げた」と言わせた儀堂と似ている。それぞれの言葉が適切なのかどうかは分からない。だが、一香も儀堂も最後まで家族のことを考えていたのは確かだ。
儀堂は第6回で冬橋に拳銃で4発撃たれ、殺されたことになっている。本当に死んだのだろうか。弾は頭部、首、心臓などの急所を外れていた。合六の目から逃れ、どこかで治療を受けているのではないか。
そう考えるのは第8回で夏海の回想シーンが流れたから。儀堂は撃たれる直前、夏海とコンテナに入り、密談を交わした。夏海は自分が100億円の商品を盗んだ犯人だと名乗り出ると言った。すると夏海は殺されるが、儀堂は助かる。夏海は儀堂に早瀬を助けてほしいと頼む。
「私は早瀬夏海なの。合六は私の夫を殺そうとしている」
印象的なのは夏海の次の言葉だ。
「麻友さんと幸せになることを祈っている」
2人がコンテナから出ると、儀堂が「オレがやった」と名乗り出て、撃たれた。想定外の展開だったが、早瀬は守られた。儀堂の刑事としての良心か。死ぬつもりだった夏海は責任を感じたはず。撃たれた儀堂を黙って見過ごすわけにはいかないだろう。
合六の死体置き場は夏海も知っている。行ったこともある。誰かに儀堂を病院まで運ばせたか、医師を手配したと見る。
合六の警視庁内のスパイは誰か。やっていることの大きさから考えると、監察官の真北正親(伊藤英明)以外は考えにくい。儀堂のロッカーに早瀬を騙すためのパソコンを入れたり、一香と夏海の歯形を入れ替えたり。平刑事クラスでは出来そうにない。
真北なら刑事部捜査1課(殺人など)から同2課(贈収賄など)、同鑑識課から、組織犯罪対策部(暴力団対策、来日外国人犯罪など)まで自由に往き来できる。また第7回で真北は兄の弥一と一緒に合六と会っているところを早瀬に目撃されている。
合六のスパイをしながら、6年前から儀堂を使って合六を監視していたと考えれば、辻褄は合う。監視の目的は弥一への献金が途絶えたり、献金が発覚したりするのを防ぐためだ。
気になる点も残されている。真北の妻・葉月のひき逃げ事故のエピソードにまだ焦点が当たっていないことである。真北は第4回で「僕みたいに出世の見込みがなくなると」と自虐的な言葉を口にした。理由は葉月のひき逃げに違いない。
警察組織では、家族が罪を犯した場合、報告を義務付けている。処分を受けるケースもある。真北は処分を軽くするため、弥一かほかの誰かを通じ、合六に工作を頼んだ。それが弱みになってしまい、スパイになったのではないか。
エンドマークが出るまで謎が残りそうだ。
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