警視庁幹部の“フキハラ認定”に「不機嫌ぐらいでハラスメント?」とSNSで異論殺到 …専門家が「納得できないという気持ちも分かります」と理解を示すワケ

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複数の“告発”という重要性

 日本ハラスメント協会で代表理事を務める村嵜要氏は「SNS上では『これくらいのことでハラスメントだと認定されるのは間違っている、おかしい』との投稿が非常に多いですが、その気持ちは私もよく分かります」と言う。

「ひょっとすると『自分も不機嫌になった時、ハラスメント認定されたらどうしよう』という不安を感じて投稿している管理職の方もいるのではないでしょうか。ただ安心してほしいのは単なる不機嫌でハラスメント認定されることは基本的にありません。部長から怒られた課長が部署に戻り、思わず不機嫌な表情になったとか、部下の報告に課長の眉間に皺が寄ったとか、それぐらいでは処分の対象にはならないのです。そのことは警視正の男性が行っていたフキハラの内容を見れば分かります」

 一人の“告発”からハラスメントが認定されることも珍しくないが、警視正の場合は懸念を示す複数の証言があった。それだけ警視正の態度を問題視していた部下が多かったことが推測できる。

継続性と反復性

「さらに注目したいのは期間の長さです。毎日新聞の報道によれば、2021年の9月から25年の9月まで、部下に不機嫌な態度で接し続けて職場の環境を悪化させたそうです。4年間にわたり、何度もフキハラを繰り返していたことが分かります。継続性や反復性はハラスメントの認定では重視されるポイントです。さらにフキハラの内容にも目を向けるべきでしょう。部下の報告を途中で遮り、反論すると不機嫌になる。部下の好き嫌いも激しく、職場では『警視正に嫌われたら終わり』という緊張感に包まれていました。『上司が思わずしかめっ面をした』とか『上司が思わず舌打ちをした』といった1回限りで継続性のない言動のレベルとは異なるのです」(同・村嵜氏)

 フキハラが社会問題化するにつれ、上司は常に笑顔を浮かべていなければ処分されるということもない。あくまでも常識的な範囲に限るが、職場で喜怒哀楽の感情を表しても大丈夫なのだ。

 第2回【“被害者を精神的に追い詰める”だけではない…「フキハラ」が職場を崩壊に追い込む“2つのリスク”を専門家が解説】では、フキハラの“原点”に迫る。何と日本社会が「パワハラは“悪”」と認定したことにより、皮肉にもフキハラが誕生してしまったという経緯について詳しくお伝えする──。

註:警視庁の警視正「フキハラ」で処分 意見すると不機嫌に、部下が萎縮(毎日新聞電子版:3月10日)

デイリー新潮編集部

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