文化財への“落書き”はすべて外国人観光客のせいなのか? 実際には「訪日ブーム」より前から寺社仏閣への落書きは絶えなかった問題

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 2月18日、愛媛県宇和島市にある重要文化財「宇和島城天守」に落書きが見つかったと発表があった。また、昨年12月には鹿児島県奄美大島にある「西古見砲台第2観測所跡」でも落書きが発見されたと報道があった。ここで落書きが見つかるのは、前年に続いて二度目という。文化財に落書きが発見されるとXでは「文化を踏みにじる行為だ」「許せない」などとポストされ、大きな話題になる。【取材・文=山内貴範】

外国人による落書きは多いのか

 近年、Xでは一部の人々による外国人観光客に対するバッシングが凄まじい。特に騒動になるのが、“外国人が文化財に落書きをした”と疑われた場合である。昨年9月には春日大社の重要文化財「東回廊」で落書きが見つかったが、このときは「中国人と思われる人が落書きをした」とする報道もあった。2023年には、国宝に指定されている唐招提寺金堂にカナダ人の子どもが落書きしたことも、大々的に報じられた。

 また、京都の観光名所である嵐山の竹林の小径も、インバウンドブームが起こってから外国人による落書きが増えたとされている。竹の表面に、ナイフのようなものでハートマークや名前を刻むいたずらが相次いでいるそうだ。約7000本のうち、被害に遭ったものは350本を超えるとされ、景観にも影響が出ているという。

 こうしたニュースが報じられると、一部のネット民などの間ではここぞとばかりに外国人をバッシングする声が上がる。文化財を守るために、外国人の入国を規制するべきだと主張をする人もいる。だが、実際に日本の国宝や重要文化財の建築を訪れてみると、日本人による落書きは呆れるほど多いのである。

文化財はどこも落書きだらけ

 奈良の大仏で有名な国宝「東大寺大仏殿」の柱は、落書きでいっぱいである。彫刻刀のような鋭利な刃物で刻んだ跡もあり、日本語で書かれた名前も目立つ。平成と刻まれたものもあるし、昭和の年号が記されたものもある。また、重要文化財に指定されている中門と繋がっている回廊(こちらも重要文化財である)には、朱塗りの柱に触った指を、白い漆喰の壁に押し付けた跡まであった。

 京都の二条城に行ってみると、国宝「二の丸御殿」の柱や扉にもやはり落書きが見つかる。御殿内では写真撮影が禁止されていたので撮影できなかったが、“平成11年”に刻まれたとみられる落書きもあった。しかも、大政奉還が行われた部屋からも近い場所にある。江戸時代にこんなことをしたら、大変な騒動になりそうだ。

 重要文化財「碓氷峠鉄道施設」のめがね橋に至っては、橋脚のレンガに釘や刃物で刻まれたと思われる数多くの落書きがあるし、国宝「平等院鳳凰堂」の扉壁画に至っては、手が届く場所は墨で書かれた落書きだらけである。扉壁画には江戸時代などかなり古い時代の落書きも多いが、どうやら、日本人は伝統的に落書きをするのがお好きなようである。

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