「妻にも言えない」60歳を前に500万円が元本割れ――企業型DCの“一発逆転”が裏目に出たワケ【専門家が助言】

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60代の資産配分、貯蓄状況別の目安はこれだ

 では60代の人は、どのような配分で投資を続けたらいいのだろうか。上原さんは、「個々の貯蓄額や年金額、働き方や健康状態に合わせることが大前提」としながらも、三つのパターンを示してくれた。共通していえるのは、「まず、60代前半は年金がなく収入が激減する時期なので、生活費5年分以上の貯蓄を確保しておくこと」だという。なお、以下から説明する資産配分は、すべての金融資産から5年分の生活費を差し引いた「余剰資金」をどう振り分けるかというめやすである。「余剰資金でも、一括投資せず、毎月の積立てなどでタイミングを分散して」と上原さん。あくまでもめやすなので、自身の状況に応じて、最終的な判断は自身の責任で行う必要がある。

【パターン1】生活費5年分超の貯蓄がある
最も余裕のあるパターン。積極的な運用で資産寿命をさらに延ばすことを考えたい。60代前半は株式投資に余剰資金の40~45%を、債券に35~40%、現金に5%を配分し、残りをREIT(不動産投資信託)や金(ゴールド)にまわす。60代後半以降は、株式への割合を35~40%に引き下げ、現金の割合を10%に引き上げて、少しずつ守りに移行していく。

【パターン2】生活費5年程度の貯蓄を確保している
65~69歳の間に資産を取り崩す可能性が高いので、現金の配分を厚めにする。60代前半は、株式投資に余剰資金の30~35%、債券に35~40%、現金に15%を配分。60代後半以降は、株式は25~30%に抑え、現金は25%まで引き上げる。

【パターン3】貯蓄が生活費5年分ない・年金額が少ない
取り崩しの必要性がさらに高いので、現金をより多く確保しておく。ただし、それでも「全額貯蓄」とはせず、少しは株式で「増やす」ことも意識したい。60代前半なら、株式に自分なりに設定した余剰資金の15~20%、債券に30~35%、現金に40%という配分。60代後半になると、株式は10~15%に絞り、現金は45%に高めよう。

 定年後も人生は20年、30年と続く。とくにインフレ期は、「預貯金一筋」では「守っているようで資産価値を目減りさせていく」ことにつながる。大切なのは、どこまでの値動きに耐えられるのかという自分の「リスク許容度」を見極め、焦らず、分散しながら「資産の寿命」を伸ばしていくことだ。この鉄則を守れば、大きな失敗は避けられるはずだ。

※紹介する事例は、プライバシー保護等のため、アレンジを加えている。

今回のアドバイザー/上原千華子さん
金融教育家/ファイナンシャル・セラピスト。欧米投資銀行勤務歴17年、個人投資家歴25年以上。AFP、証券外務員一種、NLP(実践心理学)マネークリニック(R)認定トレーナー。2018年、ウェルス・マインド・アプローチ創業。資産運用講座を実施し、2022年より「3ヶ月マネー実践講座」を提供開始。心理学を取り入れたライフプランと資産運用をアドバイスしている。現在は企業・大学でも登壇し、延べ5000名以上に金融教育を届けている。著書に『「お金の不安」をやわらげる科学的な方法 ファイナンシャル・セラピー』(日本能率協会マネジメントセンター)。

取材・文/鷺島鈴香

デイリー新潮編集部

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