「ミセス」が挑む、絶滅した「王道バラエティ」の復活 「SMAP×SMAP」の後継になれる理由

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純粋なテレビ愛

 楽曲制作においても、作品をどのように社会に流通させて、どのように受け取ってもらえるかということを突き詰めて考えている。純粋なテレビ愛を持っている彼は、テレビを宣伝の場としてではなく、自分たちの表現をより多くの人に広めるための場所として捉えているのだ。

 Mrs. GREEN APPLEの強みは、スター性と親しみやすさが両立していることである。際立った才能や優れた音楽性を持ちながら、ロックバンドらしい不良性や威圧感はなく、見た目も振る舞いも柔らかく洗練されている。そんな彼らの「感じの良さ」は、テレビタレントとしては大きな武器になる。

 今回、ミセスが出演するからといって音楽番組が作られるわけではない。近年は音楽番組では視聴率が取れなくなっている。むしろ「テレビ×ミセス」は潔くバラエティ路線に振り切っている。

 すでに明かされている情報によると、アーティストを招いてコラボ歌唱を披露したり、芸人と一緒にコントを演じたりする予定だという。このような歌あり、コントありの「王道バラエティ」は、「8時だョ!全員集合」「SMAP×SMAP」をはじめとして、昭和から平成の時代には数多く制作され、人気を博していたが、最近ではほとんど見られなくなっていた。「テレビ×ミセス」は、Mrs. GREEN APPLEという国民的アーティストの力を借りて、王道バラエティを新たに立ち上げるという挑戦的な試みなのだ。

「8時だョ!全員集合」の中心にはザ・ドリフターズがいた。「SMAP×SMAP」の中心にはSMAPがいた。いずれも一時代を築いた国民的な人気タレントだった。音楽界の頂点に立つミセスには彼らのあとを継ぐ資格は十分ある。音楽界の覇者となった彼らがバラエティの覇者となる日も近いのかもしれない。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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