「全国大会出場ゼロ」でもスカウトから「モノが違う」の声が… 井端監督も評価する「期待の新星」とは
【全2回(前編/後編)の後編】
3月5日に開幕したWBC。井端弘和監督率いる侍ジャパンは、連戦連勝で1次ラウンドプールCの1位通過を決めた。そんな井端監督が今注目する逸材とは……。
井端監督が語った野球観や野球界への提言を、スポーツライターの西尾典文が聞き手としてまとめた『日本野球の現在地、そして未来』(東京ニュース通信社)より、一部を再編集して紹介する。
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4人の大学生
プロ野球のキャンプ真っ盛りの2024年2月14日、『カーネクスト侍ジャパンシリーズ2024日本VS欧州代表』(京セラドーム大阪で3月6、7日に開催)に出場する侍ジャパントップチームの28選手が発表された。そんな中でも最大のトピックと言えるのは、金丸夢斗(関西大・投手)、中村優斗(愛知工業大・投手)、宗山塁(明治大・内野手)、西川史礁(みしょう)(青山学院大・外野手)という4人もの大学生が選出されたことではないだろうか。11年10月に代表チームの呼称が侍ジャパンに統一されて以降に限ると、13年11月に行われた台湾との強化試合では、その年のドラフトで広島から1位指名を受けた九州共立大4年の大瀬良大地、日本ハムから3位指名を受けた明治大4年の岡大海(現・ロッテ)が参加したことがあったが、ドラフト指名前のアマチュア選手がトップチームに選ばれることは今回が初めてである。しかも4人もの選手を招集しているところに、代表チームの将来を重視した井端らしさがよく表れていると言えるだろう。代表選手を発表する記者会見では、「(4人の大学生は)今年のドラフト会議で間違いなく指名される選手です。プロ入り後すぐにトップチームに入ってくることができるポテンシャルは持っているので、学生時代に侍ジャパンのユニホームを着る経験が大事だと思いました」と話している。また選ばれた4人も今回の代表選出について以下のようなコメントを残している。
金丸夢斗「憧れであった侍ジャパンに選出され大変光栄に思います。自分の最大の持ち味であるストレートで勝負し、勝利に貢献できるように頑張ります」
中村優斗「侍ジャパントップチームに選出され大変光栄に思います。このお話を頂いた時には非常に驚きましたが、今は身の引き締まる思いです。持ち味であるストレートを生かしチームに貢献できるよう精一杯頑張ります」
宗山塁「この度、侍ジャパン日本代表チームに選出していただきとても光栄です。走攻守バランス良く、勝負強さを発揮してチームに貢献したいと思います。高いレベルの選手達の中で一つでも多く良いものを吸収できるよう、学生らしく泥臭く頑張っていきます」
西川史礁「まずは侍ジャパンに選出していただき、非常に嬉しく思っています。自分のアピールしたい点は長打力と肩の強さです。大学生らしくチームの力になれるよう全力で頑張ります」
4人が代表チームに選ばれてからは、あらゆる媒体でその特徴を紹介する記事も出ていたが、プロ野球ファンでも実際にそのプレーを見たことがある人は少数だろう。実は24年1月に井端から話を聞いた時点でも、この4人については既に代表チーム入りが内々定している状態であり、井端が評価するポイントも聞くことができたため、その時の話を踏まえながら、4人の逸材の注目ポイントについて紹介したいと思う。
「あれだけしっかりフルスイングされたら……」
宗山、金丸の2人は下級生の頃からチームの中心だったが、3年生になってから急浮上してきたのが西川史礁だ。関西でも屈指の強豪校である龍谷大平安高校出身で、2年春には選抜高校野球にも出場し、背番号16ながらショートのスタメンとして3試合に出場している。青山学院大では、2年秋までリーグ戦通算わずか2安打と、結果を残すことができないシーズンが続いた。が、3年春に4番に定着すると打率3割6分4厘、3本塁打、10 打点の活躍でチームの優勝に大きく貢献し、MVPとベストナインも受賞。続く全日本大学選手権でも4試合で15打数7安打、1本塁打と4番の役割を果たし、チームは18年ぶりとなる日本一を達成した。さらに西川の評価を上げることになったのが大学日本代表での活躍だ。6月に行われた代表選考合宿では23年のドラフトで楽天から1位指名を受けた古謝樹(当時・桐蔭横浜大)からホームランを放つと、7月の日米大学野球でも全試合4番に座り、メジャー・リーガーの卵たちからも、5試合で3割を超える打率をマークして見せたのだ。井端が実際にプレーを細かく見たのは6月の代表選考合宿で臨時コーチを務めた時だったが、その印象を以下のように話している。
井端「まずバットがよく振れますよね。空振りしてもあれだけしっかりフルスイングされたら相手バッテリーは嫌だと思います。青山学院大は昨年(23年)春の日本一のチームですし、そこでずっと4番を打って、大学日本代表でも4番を任された。打線の中心にいるのが似合う選手ですよね。あと、ただ強く振れるだけでなく、コンタクトする力もあって反対方向にもしっかり打てる。リーグ戦で対戦しているピッチャーのレベルが高いというのもありますけど、大学選手権とか国際大会で、初めて対戦するピッチャーにも対応できるというのもいいですよね。トップチームでも何番を打たせようか迷っていますが、状態がよければ上の方の打順でも使ってみたいですね」
23年のドラフト会議では、西川がプレーしている青山学院大が所属する東都大学野球連盟から、7人もの投手が1位指名されたことも話題となった。その中でも西川は、亜細亜大の草加勝(中日1位)、中央大の西舘勇陽(巨人1位)からもホームランを放っており、前述した古謝も含めると、3人のドラフト1位の投手を攻略したことになる。それも井端が話すように振る力や長打力だけでなく、対応力のある証明と言えるだろう。
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