「全国大会出場ゼロ」でもスカウトから「モノが違う」の声が… 井端監督も評価する「期待の新星」とは
井端監督が指摘する“不安要素”
ただ、ブレイクしたのが3年春であり、まだ大学3年間トータルで考えた時の実績は十分とは言えず、それが不安要素とも言える。井端もその点は危惧している部分だという。
井端「12月に松山で行われた大学日本代表候補合宿では、ちょっと良くなかったですね。夏前に臨時コーチで行った時と比べると、良くない意味でバッティングが小さくなっているように見えました。3年春にいきなり出てきて、一気に大学日本代表の4番にまでなったので、無我夢中でやっていた部分もあったと思います。それが今度は相手からも研究されて追われる立場となって、いろいろと考えた部分もあったでしょう。ただ持っている力は間違いありませんから、ここからさらに一皮むけてもらいたいですね」
井端の言葉通り、23年12月の大学日本代表候補合宿での紅白戦では、2試合でシングルヒット1本と、目立った結果を残すことはできなかった。3年から4番を打っていたとはいえ、宗山や金丸と比べると万全な実績があるわけではなく、また外野には他にも力のある選手が揃っているだけに、大学日本代表チームの中でもその地位は決して安泰ではない。そういう意味でもトップチームでの経験をどう生かせるかが、今後の西川の野球人生においても重要になってくることは間違いないだろう。
全国大会出場経験ゼロ
そして4人の中で唯一、“地方リーグ”から選出されたのが愛知工業大の中村優斗だ。高校時代は長崎県立諫早農業でプレーしており、中村の在籍時を含め、学校として甲子園出場経験はない。県内の野球関係者には、多少名前を知られた存在だったとのことだが、地方リーグの愛知工業大に進学していることからも、全国区の選手ではなかったことは間違いないだろう。また今回選ばれた大学生4人の中でも、高校、大学を通じて、全国大会に出場した経験がないのは中村だけである。
ただ逆に言えばそれだけの実績がないにもかかわらず、トップチームに選ばれたというところに中村の非凡さが表れている。大学1年春からいきなりリーグ2位の防御率を記録すると、その後も先発として活躍。同じリーグには、松本凌人(りょうと)(DeNA2位)、岩井俊介(ソフトバンク2位)と23年、2人の投手が上位指名でプロ入りした名城大など力のあるチームが多い。そのためなかなか勝ちに繋がらない試合も多かったが、それでも中村は着実にレベルアップを続け、2年秋のシーズンが終わる頃には愛知の野球関係者の中では、名前を知らない者がいないくらいの存在となった。筆者が初めてその投球を見たのは、3年春のリーグ戦前に行われた社会人チームとの対抗戦だった。9回から3番手で登板した中村は、まだ3月上旬だったにもかかわらず、150キロを超えるストレートを連発し、最速は153キロをマーク。1イニングをパーフェクト、1奪三振と、東海地区の社会人でも屈指の強豪であるヤマハの打者を完全に圧倒して見せたのだ。試合を視察していたNPB球団のスカウトからも「モノが違う」という声が聞かれた。
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