66歳・清水ミチコが快挙 「いいとも」世代の枠を超え、デジタルでもファンを広げ続ける“驚異の柔軟さ”

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異色のスタイル

 高市本人もXでこの動画を見ていたことを告白して「爆笑しました」とつづった。議員会館を訪れた客が、動画を見て最初はものまねだと気付かないほど似ていたという。政治家のものまねというのは、やり方次第では炎上しかねない難しい領域である。しかし、清水の場合、多少の毒はありながらも対象を純粋に面白がっている感じが伝わるため、本人すら笑ってしまうことが多い。

 また、清水ミチコの芸は音楽的な素養と切り離すことができない。彼女はピアノを自在に操りながら、歌とトークを組み合わせてパフォーマンスを展開する。これは日本のお笑いの中ではやや異色のスタイルであり、いわばコンサートとコメディが融合したような舞台である。

 音楽の素養があるからこそ、パロディとして成立する精度の高い表現が可能になっているのであり、この点はほかのものまね芸人とも一線を画している。有名アーティストがどのように曲を作っているのかをものまねしながら勝手に再現する「作曲法」シリーズは、彼女にしかできない傑作ネタだ。

 コロナ禍でライブ活動が制限された2020年初頭にYouTubeチャンネルを開設して、ものまね動画を更新するようになった。再生数100万回を超える動画も生まれ、その功績が評価されて2021年には伊丹十三賞を受賞した。年齢を重ねてからデジタルの世界に軽やかに足を踏み入れ、新しいファン層を開拓しているのも並大抵のことではない。

 清水は「ものまねタレント」という肩書きには収まりきらない独自のスタイルを確立している。そのレパートリーの多さ、歌や音楽を取り入れた芸の深さ、新ネタを作り続ける意欲と柔軟さ、活動期間の長さなど、どの要素でも圧倒的な存在であるのは間違いない。

 ものまねという大衆的な芸を「芸術」の域にまで高めた彼女は、芸術選奨文部科学大臣賞にふさわしい人材であると言えるだろう。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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