「教員の手当をピンハネ」 名門女子バレー部監督の巨額裏金問題が発覚
「川釣監督が自由に使える裏金に」
実はこれとはまた別の教員は、川釣監督の不正行為に手を貸してしまった過去があるそうで、にわかに信じがたい氷上高という組織を挙げた“錬金術”の実態について、こう明かす。
「かねてわが高校では、教員が泊まり込みで女子バレー部の寮を管理監督した際にもらう宿直手当を、学校サイドに“寄付”する決まりになっているのです。この手当は1日当たり7400円で、県から『舎監手当』という名目で振り込まれる。現金で引き出した後、学校の事務長に手渡しなどで預けて、最終的には川釣監督が自由に使える裏金となります」
こうして彼に舎監費を渡すのは、実際に寮を管理監督する教員だけではないという。
「宿直をしていないにもかかわらず、県の勤怠管理システム上はしていたかのように装い、舎監費をだまし取る教員も存在します。学校ぐるみで勤務実態の“偽装工作”を行い、詐取した手当を川釣監督に寄付しているからです。私も彼に命じられるがまま、このやり方で舎監費を受け取ってしまった。それを事務長に手渡したり、ふるさと納税『県立学校環境充実応援プロジェクト』を通して学校側に寄付したりといったことをさせられました」(同)
さらに氷上高の元教員が、かつてのピンハネ被害についてこう証言する。
「私が着任するや否や、校長同席の場で川釣監督から舎監費の寄付を要請されました。“今までも皆、やってきたことなんや”と言われ、つい従ってしまったのです。しかし、いざ女子バレー部の寮に住み込んでみると、朝から晩まで部員と寝食を共にしなくてはいけなかった。忙しい中でタダ働きしていることが悔しく、泣いて先輩の先生に相談したこともありました」
推定で計5670万円
ピンハネは総額いくらになるのか。1日当たり7400円が1年間365日分あったとすれば、合計約270万円。これが、仮に川釣監督がやって来た05年以降、現在まで21年間続いてきたとすると、推定で計5670万円にも上る。
カネの使途は不明だが、川釣監督の強欲さについて、女子バレー部の保護者会関係者はこう言う。
「全国大会への出場が決まるたび、保護者一人一人に10万円を要求するんです。そこまでの好成績を残せば、助成金を受け取れるので、通常なら寄付金は要らないはずです。話はズレますが、この約10年間でレクサスを2台乗り継いでおり、羽振りは良さそうですね」
冒頭に登場した氷上高教員は、川釣監督には舎監費の件以外の疑惑もあるとして、こう語った。
「バレー用具を購入するにあたり、スポーツ用品店と共謀して実際の商品価格よりも高額な領収書を偽造し、生徒会に請求した疑いを持たれています。毎回、領収書に記載されている商品価格に端数がなく、相場を上回っているようにしか見えないのです。仮にスポーツ用品店に何かしらの便宜を図り、金銭を受け取っていた場合、賄賂罪が成立する可能性も考えられます」
この教員は前述したとおり、他のパワハラ疑惑なども含めて川釣監督を巡るさまざまな問題を、県に公益通報してきた。しかし、問題が事実上放って置かれただけでなく、かえって氷上高の校長から「何をどこまで通報したのか?」などと、脅迫めいた聴取を受けたという。事実なら、れっきとした県と学校による公益通報者つぶしだ。
これではらちが明かないと判断した結果、現職の教員有志で公益通報と同様の内容を兵庫県警に対して刑事告訴し、25年4月24日に受理されたそうだ。
1年以上も放置
当の川釣監督は、本誌(「週刊新潮」)記者の直撃に「学校から対応するなと言われているので」と答えるにとどまった。氷上高の校長も「書面で回答を差し上げますから」と繰り返すばかり。県の公益通報担当者に至っては、ものの数十秒で記者の前から立ち去る始末である。
氷上高はその後、川釣監督によるピンハネ問題などについて〈事実関係が不明であるため、回答できません〉と書面で返事を送ってきた。県にも、公益通報の内容を問いただしたが〈事実誤認もしくは事実関係が不明である項目が数多く含まれると考えています〉と文書での回答が届いた。
本来、告発があった時点で直ちに調査すべき事案である。ところが1年以上も放置しておいて、この期に及んでも隠蔽を続けるとは。氷上高と県は、事の重大性を理解しているのだろうか。
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