子宮体がんを発症も…手にした保険金で東南アジアを飛び回る女性ライター(40)が魅力的すぎた件…つらい経験を乗り越えて“あくまで楽観的に生きる”ことの意義

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そこのソファーで今晩寝させてもらえますか?

 この時の旅行には佐賀県唐津市の屋台「美好子」の女将である美代子さんも来ていた。彼女は人の名前を覚えるのが面倒くさいため、その人物の特徴からあだ名をつける。パン作りが趣味の女性には「パンオナゴ」、薬局経営者には「薬局」、ハンドメイドで袋を作る女性には「ずたブクロオナゴ」といった感じだ。

 H嬢は、暑い東南アジアでは、肩紐だけのドレスを着用し、その下には下着替わりの水着を着けている。曰く「これだったらいつでも泳げる」からである。そんなセクシーな恰好をしていたため、美代子さんからは「色オナゴ」とあだ名をつけられ、蚊を殺す様を見て「狩りオナゴ」になった。その流れで美代子さんの弟がイカ釣り漁師をしているので、今度船に乗らんか? とH嬢に聞いた。すると「行きます!」となったため、最終的に「イカオナゴ」になった。今年の夏は旅費を使って唐津に来て、イカを釣りまくることだろう。

 さて、当座の問題は、その晩の宿である。同行の富豪男性・T氏(60代)がシャングリラホテルのスイートルームを取っているため、皆で遊びに行った。H嬢はここで「すいません、そこのソファーで今晩寝させてもらえますか?」とおずおずと聞いた。さすがに初対面の若い女性を泊めさせるわけにもいかない、とT氏は言ったが、H嬢は完全には諦めず「明日、プールに入らせてください!」と言い、そこは承諾してもらえた。

タケノコも掘る!

 とにかく好き放題に生きている彼女は、タイではネットで知り合った男性とも食事をしたという。よくぞそんな行動力があるものだと感心してしまった。そして、バンコクの次に行くのはシンガポール。カネも尽きかけているのだから、実家に帰ればいいのでは? と聞いたらこう言われた。

「東京への直行便よりも、シンガポール経由の方が安いんです! 友だちの家に泊めてもらえるので、シンガポールに行きます!」とのことだったが、結局彼女は東京に帰る便のチケットを1日間違えて予約していたことを空港で把握する。便はすでに前日夜に出発済みだ。かくして5万円を支払って新たなチケットを買い、シンガポールの空港で夜明かしし、翌朝便で帰国した。結局高くついたのである。

 そんな彼女は、現在私が住む唐津市にも遊びに来るという。イカ釣りはもちろん、4月にタケノコ掘りをすることを聞きつけ、「タケノコも掘る!」と。

 彼女は今、後先の交通費と宿泊費も考えずにやりたいことをひたすら楽しみにし、今日も元気に小市民的に生きている。このように呑気な彼女だが、本気で仕事を獲得しようとすればなんとかなる、という自信があるからこそできる生き方ではある。

ネットニュース編集者・中川淳一郎

デイリー新潮編集部

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