「自分の意思で行っていますし…」「信じるしかない」 イランで拘束「NHK支局長」の両親が胸中明かす
拘束理由はデモ取材か
今回、亡くなったハメネイ師についてはこう語る。
「ハメネイ師は最高指導者として政府、司法、国会、軍などを統べる存在でしたが、国内にはその死を歓迎する向きもあります。民衆は18年から続く経済制裁に疲弊しており、多くの人々が現体制の崩壊を望んでいました。昨年末から政府に対する抗議活動も過熱しており、デモに参加した多数の市民が当局の弾圧に遭い、命を落としています」(斎藤氏)
NHKの川島進之介テヘラン支局長が1月20日にイラン革命防衛隊によって拘束された件も、デモの取材に関連したものだった可能性があるという。
「昨年末の大規模デモ以降、イラン国内ではジャーナリストが相次いで逮捕されています。NHKのカメラマンのパスポートやノートパソコンなどが押収されたという情報もあります」(前出のデスク)
放送大学名誉教授で中東研究が専門の高橋和夫氏が言う。
「私が旅行者としてイランを訪れた際にも、当局からデモ隊がいても写真は撮らないでくれとくぎを刺されました。取材規制が厳しい国です」
川島氏が2月23日から収容されているという「エビン刑務所」については、
「基本的には政治犯が収容されます。反体制運動の活動家のほか、スパイの疑いをかけられた人物が投獄されることもある。去年6月のイスラエルによる爆撃ではこのエビン刑務所が狙われました。刑務所を混乱させて、囚人を解放し、現体制を揺さぶる目的があったとみられます」(同)
英語堪能で仕事一筋
川島氏は、茨城県の私立茗溪学園高等学校を卒業後、筑波大学に進学。NHK入局後は、沖縄放送局を皮切りに、山口、東京などで勤務し、その後インドネシア・ジャカルタに赴任。帰国後は鳥取勤務を経て、昨年9月にはテヘラン支局長に着任していた。
NHK関係者が言う。
「彼は現地のペルシア語は話せませんが、英語は堪能。40代半ばで、仕事一筋。実は、少なくともイラン攻撃が始まるまで、外務省はイラン当局などを通じて彼の身の安全を確認できていたようです。そのため、政府とNHKは当局を刺激せず、水面下で解放交渉を進めるべく、彼が拘束されたこと自体の公表も控えていたのです。しかしイラン攻撃後、テヘラン市内に安全な場所はない。彼の身が心配です」
実際、3日、エビン刑務所の一部が爆撃による被害を受けたことが報じられた。
「われわれは信じるしかない」
実家で息子の安否を案ずる両親に話を聞いた(取材は3日以前に行われた)。
母親は、
「心配ですけど、NHKからは逐一、報告もいただいておりますから」
と、言葉少なで、
「息子はここ(おでこ)に、ま・じ・めって書いてある子。融通が利かないところもありますし……」
一方、父親は、
「本人は子供の頃から報道に興味があってね。自分の意思で行っていますし、リスクは理解していたでしょう。(NHKからは)本人が拘束されたその日のうちに連絡はいただきました。一日でも早く解放される方法として、何がいいのか。話し合った結果、対応は外務省とNHKに任せています。われわれは素人だから信じるしかありません。自分らが現地に行っても、会えるわけじゃない。いい報告を待つだけ。無事を祈っていただければ幸いです」
トランプ大統領は攻撃が4~5週間続くとの見通しを明かしている。一刻も早く、支局長が無事に解放されることを願うばかりだ。
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