「投資は危険」「株は絶対ダメ」と教えられた氷河期世代51歳の悲鳴…インフレ&子どもの学費のWパンチに「新NISA、今からでもまにあう?」【FPが助言】

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 バブル崩壊で痛手を負い、投資がすっかり苦手になってしまった……。そんな親の姿を見て育ち、自身も投資に背を向けて生きてきた氷河期世代の女性。しかし、猛烈な物価高と子どもの学費に悩まされ、「やっぱり投資をしたほうがいいのかも」と悩み始めている。近づく老後を前に、どうすればいいのか。マネーの専門家が、処方箋を提示する。今回のアドバイザーは、金融教育家でファイナンシャル・セラピストの上原千華子さんだ。

「貯蓄派」の信念をゆるがす物価高

「投資なんてやるもんじゃない。株だけは絶対ダメ」

 バブル崩壊で投資に失敗した団塊世代の親から何度も聞かされ、自身もそれを守って生きてきた団塊ジュニア――就職氷河期世代は少なくないだろう。その後も、リーマン・ショック、東日本大震災、コロナ禍と、株式市場が荒れるたびに「やっぱり投資なんてしなくてよかったんだ」と再確認する。都内の編集プロダクションで契約社員として働く51歳の女性、ウタさん(仮名)も、そんな一人だった。

 不安定な雇用環境を生き抜き、同じく契約社員の夫と共働きで、やっとの思いでお金を貯めてきた。長くデフレが続く中で、元本割れしない預金こそが唯一の正義、盤石な土台だったはず。だが今、その土台が音を立てて崩れようとしている。ここ数年の急激な物価高を前に、彼女は言いようのない焦燥感に襲われているのだ。

「スーパーの棚を見るたびにため息が出ます。卵、鶏むね肉、お米……。安くて頼りにしていた商品がどれも2倍近くの値段になってしまいました」

 焦りに拍車をかけているのが息子の進学だ。私立理系大学に進学したため、年間120万円の学費があと3年かかる。もちろん息子もアルバイトをして家計を支えてくれるのだが、焼け石に水で急激に預金残高は減ってしまった。ウタさんは通常勤務に加え、週に2回、夜間に飲食店のアルバイトをするようになった。そんな親に遠慮して、息子は自宅から隣県の大学まで約60kmの距離を原付自転車で通学している……。

 息子の学費がなんとか捻出できたとしても、まだもう一人、大学進学を控えた娘がいる。

「娘が大学を卒業した時、自分は57歳です。そこから自分たちの老後費用を貯められるのかどうか……」

 ウタさんは非正規雇用だったため、公的年金もあてにならない。周囲の「新NISAどうしてる?」といった会話を聞いて焦るばかりだ。

「これまで株だの投資だの言われても、自分とは無縁の存在。もっと言えば〝なんか詐欺っぽい。だまされる〟というイメージさえありました。でも、世間では新NISAの話題が溢れていて、日経平均株価がぐいぐい上がっていって……。今さらながら投資を始めたほうがいいのかな、なんて戸惑っています」

 ただ一方で、投資未経験の彼女にとって、株価上昇のニュースは「儲け損ねた」という後悔よりも、「バブル再来に違いない、いつ暴落するか分からない」という恐怖を増幅させる。焦って一発逆転を狙いたい誘惑と、怖くて指一本動かせない硬直状態――。矛盾した思いの間で、「さすがに新NISA、始めるべき?」と今日も悩んでいる。

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