「投資は危険」「株は絶対ダメ」と教えられた氷河期世代51歳の悲鳴…インフレ&子どもの学費のWパンチに「新NISA、今からでもまにあう?」【FPが助言】
専門家からのアドバイス/親の呪縛から抜け出し、少しずつ投資にトライ
「投資は怖い、やってはいけない……。そう思い込んでいる方は私のセミナー参加者や相談者にもたくさんいらっしゃいます。とくに身近な人から失敗談を聞いた人は、その思いが強いようですね」
そう話すのは、お金の問題について金融知識と心理の面からアプローチする金融教育家でファイナンシャル・セラピストの上原千華子さんだ。
ウタさんの投資への不安を解きほぐすと、そこにあるのは「投資は危ない、貯金が一番」という親からの刷り込みだ。
「まずはその思い込みが、自身で得た知識や経験ではなく、親の経験談によって植え付けられた“呪縛”であることを自覚しましょう」
上原さんによると、過去に手痛い失敗をした人の体験談をよく聞くと、商品先物など投機的な金融商品を短期的に売買していたなど、高リスクな投資手法をとっていた人が多いという。投資を学ぶ相手としてふさわしいとは言い難いのだ。
「親世代の教えも、わからないではありません。確かに、デフレ時代には元本割れしない『現金』を抱えていることが、家計にとって手堅い防衛策でした。が、インフレ下ではその常識が通用しなくなります」
例えば、インフレ率が年3%で推移した場合、100万円をそのまま置いておくと、実質的な価値は10年後には約74%、20年後には約55%になってしまう計算になる。目に見える金額は変わらなくても、買えるものが確実に減っていく、静かな資産の喪失が起きるのだ。一方、投資商品は一時的な価格の上下はあるものの、平均的にみると物価に連動して上がっていく可能性が高い。
「この話をすると、現金至上主義の方も『このままではいかん』とスイッチが入ることが多いですね。これからインフレが続く可能性を考えると、少しずつでも投資をしていくことが家計の防衛につながるんです」
もちろん、ただただ焦って「一発逆転」を狙うのは最も危険な行為だ。まずは、老後を見据えて「いつ、何のために、いくら必要なのか」という現実的な目的を再確認することを上原さんはすすめている。公的年金がいくらくらいもらえそうか、日本年金機構から届く「ねんきん定期便」や日本年金機構のサイト「ねんきんネット」などで確認。それと老後の生活費の見込みを比べて、「どのくらい貯めたらよいのか」考えてみる。そうすると、お金を「増やす」ことに多少なりとも積極的になるはずだ。
「その上で、投資に対する心理的な抵抗感が強い人は、月5000円、1万円といった少額からでいいので、まずはやってみる。そして相場の変動に慣れることを優先しましょう」
投資をする「箱」としては、いつでも換金できる自由度の高い「新NISA」と、所得税等の控除メリットがあるが60歳まで掛金を引き出せない「iDeCo」がある。
「子どもの進学などを控えているなら、柔軟に換金できる新NISAから検討するのが現実的ですね」
どんな金融商品を選ぶかは、その人の投資方針や知識によって異なる。一般的には、全世界の株式に分散投資する「オルカン(オール・カントリー)」型をうたう投資信託で、手数料が安いものが勧められている。ただし、不慣れな人が株式のみに集中投資すると大きな値動きがあったときにすぐに手放したくなり、長期投資が難しくなる可能性がある。
「これまで投資が怖いと思い込んでいた初心者は、『バランス型ファンド』から始めてみてはどうでしょう。株式だけでなく債券や不動産(REIT)など、異なる値動きをする資産を組み合わせているため、比較的価格の変動が穏やかです。暴落への恐怖を和らげながらインフレに対応できますよ」
「少しでも増やさなきゃ」と株価の上下に一喜一憂する必要はない。インフレという見えない敵から自分の生活を守るために、少額でもいいから「資産の置き場所」を分散させて、長い時間をかけてじっくり育てる。それは無謀なギャンブルではなく、合理的な選択なのだ。
※紹介する事例は、プライバシー保護等のため、アレンジを加えている。
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