「村神様」が「村人様」と揶揄された…WBCで不振にあえいだ選手が見せた“男の意地”

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「いい場面で行くぞ」

 不振続きでスタメン落ちも、代打のひと振りで、でっかい仕事をやってのけたのが、2006年の第1回大会に出場した中日時代の福留孝介である。

 2月末の合宿中に右肩を痛めた影響で打撃フォームを崩した福留は、2次ラウンドまでの6試合で19打数2安打と3番打者の役目を果たせず、準決勝の韓国戦では屈辱のベンチスタート…。だが、王貞治監督は「いい場面で行くぞ」と約束してくれた。

 そして、0対0の7回、先頭の松中信彦が右越え二塁打でチャンスをつくり、多村仁が三振に倒れた直後、次打者・今江敏晃のところで王監督が「代打・福留」を告げた。

「最高の場面で使ってもらえた」と意気揚々と打席に立った福留は、カウント1-1から金炳賢の直球を鋭く捉える。一直線に飛んだ打球は、本塁打が出にくいことで知られるペトコパークの右翼席に入る貴重な先制2ランとなった。

「僕の野球人生で、これ以上のホームランはないですよ」という快打で勝利のヒーローとなった福留は、決勝のキューバ戦でも9回のダメ押しの代打2点タイムリーを放ち、世界一に貢献した。

 2023年のWBCに際しては、テレビ中継の解説者として現地入りし、不調に苦しむ村上に「どれだけ大会期間通して打っても、ここ一番のところで打たないと、ああだこうだと言われる。どこで打つかだけだから、絶対良いところで打てるから」と自身の経験を伝えている。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘!激突!東都大学野球』(ビジネス社)。

デイリー新潮編集部

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