米国民の「トランプ関税」赤字は1人「4万6000円」 違憲判決に抗う「追加関税10%」でますます進む「米国を去ろう」の市場心理

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違憲判断に対抗するトランプ氏

 トランプ政権は24日、世界各国に対する10%の追加関税を発動した。20日に米連邦最高裁判所が相互関税などを違憲と判断し、同日に終了したことを受けた措置だ。先にトランプ氏は、1974年通商法122条に基づきすべての国の輸入品に150日間限定で10%の新たな関税を課すと表明し、翌日にはその税率を15%に変更したが、実際に発動されたのは10%だった。

 122条は深刻な国際収支の赤字に対応する目的で15%を上限に関税を発動することを認めており、連邦議会の承認などの手続きは不要といわれている。

 トランプ氏はさらに通商法301条などを活用し、不公正な貿易手段をとる国に制裁関税を課す考えを示している。

 米税関・国境取締局によれば、今回違憲とされた関税の徴収済み額は昨年12月14日時時点で1200億ドルを超える。だが、トランプ氏は、5年は法廷で争うことになるとして関税の返還に応じない構えをみせている。

 このように、トランプ関税を巡る不透明性は一層高まったと言わざるを得ない。トランプ関税が米国経済に与えた影響も明らかになっている。

トランプ関税で300ドルの赤字

 まず貿易に与えた影響だが、トランプ関税の効果はほとんどなかった。

 米国の昨年の商品・サービス貿易収支の赤字額は約9010億ドルで、前年に比べて0.2%しか減少しなかった。商品収支に限ってみれば、赤字幅は前年より2.1%増加した。

 個人消費に与えた影響は、大きなマイナスだったと言わざるを得ない。

 米ニューヨーク連銀は12日、トランプ氏が輸入品に課した関税(平均関税率は2.6%から13%に上昇)の90%を米消費者と企業が負担しているとする分析結果を公表した。この結果は、関税は貿易相手国側が負担するとしていたトランプ政権の主張と正反対だ。

 これに対し、国家経済会議のハセット委員長は18日、今まで見た中で最悪の論文であり、関わった人々は処分されるべきだと猛反発した。トランプ政権と米連邦準備制度理事会(FRB)の確執がさらに深まったとの指摘が出ている。

 米企業は新年に入って価格引き上げを相次いで発表していると、ウォール・ストリート・ジャーナルが16日に報じたように、インフレ第2波が始まる兆候も出ている。

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